若者に浸透する「暴力の文化」-労組・社会運動が非暴力と連帯の文化へ


8月11日、静岡市内において「学習の友」学習会が開催されました。

 今回は8月号の特集記事、①「青年の戦争認識にいかに働きかけるか―平和意識を育むために」(久保田貢愛知県立大学教授)と、②「暴力の文化」と軍事大国化、戦争―非暴力と連帯の文化へ(上)」(社会哲学者中西新太郎インタビュー)の二つを読合せ討論しました。 ①では、青年の戦後史の認識はほぼ空白のため、戦後78年間に何があったか、大筋を理解する学びの手立てが必要と指摘をします。そのために、被害の痕跡や、加害の痕跡をめぐるフィールドワークが有効としています。そのうえで系統的な戦争史の概説を学ぶことが重要と述べています。 ②では、現代日本の若者を中心に「暴力の文化」が社会的に浸透しているとして、それはどういうものか、それがはびこる原因・背景、さらにはウクライナを契機とした変化について追及していきます。まず自衛隊がサブカルチャーの図像を活用し、若者を暴力的関係、支配のあり方を心理的に受容させる、不思議でなく思わせる働きかけを紹介しています。若者の自衛隊への抵抗感のなさは、ゲームやアニメによって暴力性が具体的に文化として自然に入り込むことによる。これが、現代の暴力の文化の特徴と指摘します。そして戦争が具体化される地盤をつくっていると云います。さらにウクライナ戦争を契機に、日本社会の暴力的基盤を戦争と結びつけて考える、日本人の多数が実質的に「心理的に参戦する」感覚をもってしまったとも。そして、日常のなかでの暴力の文化についての事象を具体的に紹介しています。最後に「新自由主義と暴力」の関係について解明し、新自由主義が社会の共同性を壊すことによって、「暴力の文化の条件をつくっている」と指摘。「労働組合・社会運動が非暴力運動、国際連帯をどう広げるのか」と結んでいます。 討論では、次のような意見がありました。 「今の学生は、歴史は明治くらいまでしか教えられていないか。」「GHQ自体何かわからないかも」「日本がアメリカと戦争していたことを知らないかも。」「ユーチューブを見ると戦争・軍事賛美が凄い。日本の連合艦隊の歴史がでてきて軍備を持つことが勇ましいこととして描かれている。」「NHKでアッツ島の玉砕などで、大本営が支援要請を無視し、虚偽の報道をする、というドキュメントを見た。若者はそういうのを見ないかね。」「関心があればだけど、関心が向かないようだ。」「逆に、漫画なんかでは中国・ソ連が攻めてくるとかのがある。」「映画でも日本が核兵器を持つのを前提にしたのもある。」 「先に言った連合艦隊のは、漫画だけど美少女が出てきて、帝国連合艦隊の解説をしてくれるの。」「それが記事にもある『艦コレ』だ。」「ガルパンとは何。」「ガールズパンサーで、女の子が戦車と戦うの。」「ゲームで鉄砲を持って撃ち合いをするのが流行っている。」「広場などで戦うのも。」「遊びだけれど、抵抗感がなくなっている。」「山の中で迷彩服着て玩具の銃持って歩く、サバイバルゲームもある。」「記事の中で、『サムライブルー』に替わって『なぜ百姓ブルーじゃダメか』と云っているが、やっぱり『百姓ブルー』ではだめだよね。」「新自由主義が大きな土台になっている。競争、たたかう、弱肉強食の考えでそれが影響しているね。」「その最たるものが自己責任論だ。」「こうした意識を変えていくのは、広くて深い長い運動が必要だ。」「マンションで変な人が入ってくるのでとのことで、監視カメラが必要との声が上がる。しかし自分が監視されるようになるのだがそれがわからない。」「その反面、『中国の監視社会は嫌だ』となっている。」「北朝鮮の(独裁)体制はいやだねといった後、『さて雅子様は』とマスコミでやる。自分たちの問題がわからなくなっている。」