日本にもありました! 産別交渉・産別協定を確立させた産別労組


2月10日、静岡市内において「学習の友」学習会が開催されました。

今月は、特集記事「『魅力ある港湾労働』めざして〈産別ストライキ〉―地域の力に依拠した産別労働運動とその機能」(玉田雅也全国港湾書記長へのインタビュー記事)を読合せ討論しました。全国港湾は港湾産業の7つ労組で構成され、連合、全労連、中立などの系統を横断した組織です。1972年、産別運動を進めるには中央組織が必要ということで、職場、地域での闘いの発展のなかから生まれました。港は「一つの工場」となっている(重層構造)こと、港湾は受注産業で、発注者の大企業に比べ弱い立場にあることが特徴です。そこで業界の特殊性のなかで、企業横断的な労働運動が生まれたと云います。1967年の日曜日休日要求のストライキと要求実現以降、産別ストライキでどこでも体制をつくり、組織率4割でも15地域組織でパトロールをし、スト破りの点検、説得・講義行動をする。組合のないところでも港での仕事は止まります。また、スト後は滞留した仕事をさばくのも労働者のため、ストには現場の討論と納得を大切にしています。90年代後半以降、規制緩和とのたたかいで、規制緩和に反対との労使協定を結ぶ。ユーザーによる「合理化」を規制する事前協議制に対する、海外からの撤廃要求撤回のたたかい。年金基金登録の凍結を解除させ復活も。産別最賃引上げでストライキ闘争を展開、港湾協会からの産別最賃の運動への攻撃も跳ね返しつつあります。「産別協約体制は港湾での持続可能な『共生』システム」と指摘します。 討論では、「日本にこんな運動があるとは知らなかった。」「総評の時代につくられたのだ。元はみんな総評だったんだ。その後、連合だの全労連だのに分かれたが、産別は続けているということか。」「凄いね。」「全建総連と全国土建も共同組織をつくっているよね。」「清水にも全港湾があったね。」「2020年に行ったことがある。」「日本で産別交渉がこんな風にやられているのは凄い。」「港でストライキだと、なかなか見えないね。」「たまにネットのニュースで見る。」「JRとかでやれば、通勤してればわかるが。」「最後に示唆的経験とあるが何を学ぶべきなのか。」「産別労組はあっても、産別交渉はなかなかできない。韓国でも産別組合はあっても、産別交渉まではできていない。」「ヨーロッパは産別交渉がされている。産別交渉が本来の姿だ。」「産別交渉の結果は、組合に入っていなくても適用されるのだな。」「産別労使協定でね。」「ヨーロッパで労働組合や、ストライキに対しても比較的理解がある理由はここだ。」「港湾労働者も組織率4割でも、スト破りのパトロールをやってるとそれに応える労働者が多いということだね。」「ヨーロッパと同じような状態をつくっているということだ。」「ヨーロッパスタイルなんかを勉強しているんだろうね。」「これを他のところで作っていくのは大変だろうね。」「国際的な会議で学んできたと書いてある。」「港の労働者はそうしやすいだろうね。」「昔は交通関係のストライキはあったがね。今分断されている。」「介護労働者なんかは、産別の労組ができると大きな力になると思うが。」「それぞれの事業所が小さいよね。」「施設内の人間関係がドロドロとか、賃金が低くて仕事が大変だなど要求は高いはずだ。」「先生はどうなのかね。」「長野だったか、地域によって系統を横断した集会を開いたと聞いたことがある。」「静岡では県教組が全教の運動を妨害する。これではだめだ。」など、先進的な産別組合運動を学び、参加者一同大いに感心しました。

応能負担で富裕層や大企業の内部留保に課税


2月12日、あざれあにて静岡県労働者学習協会主催(静岡地区労連協力)の春闘経済学習会が行われました。「深刻化する物価高・円安と日本経済の再生」と題して、山田博文氏(群馬大学名誉教授)が報告しました。半世紀ぶりの円安水準と物価高の中で、貧富の格差が拡大しています。世界各国は金利引き上げなどで、金融引き締め政策に大転換しています。しかし日本はアベノミクスの異次元金融緩和により、金利を1%上げると国債利払い費が10兆円も増えるので財政危機を誘発してしまうため金融引き締め政策ができません。政府債務総額の対GDP比は、日本は264%となりイタリアの147%を超え、主要先進国の中では異常に高い数字となっています。政府債務を返済するには、応能負担で富裕層や大企業の内部留保に課税し、金持ち減税を80年代の水準に戻せば可能です。日本の景気は、賃金削減・重税と将来不安による需要不足による消費不況です。そのため賃上げと社会保障の充実による不況脱出と安定成長へ踏み出す必要があります。今の政府がとっている政策は、対米従属的軍事国家でアジアから孤立し、経済破綻する道です。そうではなく世界経済の中心に成長した大アジア経済圏の主翼(アジア連合)となり、平和的な共存共栄を達成する道への転換が必要です。