第14回『資本論』学習会 第11章「協業」と第12章「分業とマニュファクチュア」を学習する


静岡市社会科学学習会は、9月24日(木)「アイセル21」にて『資本論』学習会を開き、第4篇の第11章と第12章を学習しました。

 討論では「本文で、マニュファクチュアの二重の起源として異種マニュファクチュアと有機的マニュファクチュアの事を論究している。そして『マニュファクチュアにおける分業を正しく理解するには、次の諸点をしっかりとらえておくことが重要である』として4点挙げている。この起源と特徴の関係をどの様に理解したら良いか」「P597に『その特殊な出発点がどうであろうが、マニュファクチュアの最終の姿態は同じもの』との指摘がある。起源は二重だがその姿態の特徴は4点ある」「協業から生じる価値生産の9つの変化の第一に、協業によって『社会的平均労働を動かすようになったときに、はじめて価値増殖の法則が、一般に、個々に生産者にたいし、完全に実現される』との指摘があるが、商品の価値は社会的平均的労働の労働時間との指摘があり、協業によって分かりやすく発現する」「マニュファクチュアで、異種的マニュファクチュアは労働者が完成された商品を生産し、生産過程で自立的だが、有機的マニュファクチュアは、労働者は商品生産の各部分を分担し協力して一つの商品を生産する労働者は生産過程で結合している」など話合いました。

◆次回は、10月8日(木)午後6時30分~8時30分。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第13章「機械と大工業」第1節~第4節。持ち物は、マルクス『資本論』(新版・新日本新書版の第3分冊)。

コロナ禍のドイツと日本の対策 《ドイツ政府―漏れのない迅速な給付優先 》


「学習の友」学習会は、8月19日開催予定でしたが都合により取り止めとなりました。連絡が取れずにご迷惑をおかけした方もありました。お詫びいたします。9月については、県学習協の総会などがあり学習会の準備ができませんでした。10月より下のとおり再開いたしますので、よろしくお願いいたします。「友」9月号の特集は、「真の社会保障改革へのアプローチ」でコロナ禍での各分野の実態が報告されていました。「生活に困ったときこそ『生活保護の利用』を」(西野武全生連事務局長)の記事は、コロナ禍で2020年4月の生活保護申請件数は前年同月比24.8%と急増、東京23区では約4割増と、生活が追い詰められている状態がわかります。全生連への相談は多く、会社の休業・廃業で解雇・当面の収入が無いなどや、「特別定額給付金」をめぐる人権無視の役所の対応等々、「全生連の電話は鳴りやまず」とのことでした。布川日佐史法政大教授の、ドイツと日本の対策の違いを紹介しています。ドイツでは、生活保護の申請手続きを大幅に緩和し、最大120万世帯の新規利用者を見込み、申請時に「大きな資産はない」と宣言すれば認められる等々、必要としている人に迅速に届く当たり前の対応をしています。日本では「不正受給対策」優先で、根本的な考え方の違いが見えてきます。

静岡県労働者学習協会第48回総会開催


静岡県労働者学習協会の総会が9月21日、静岡労政会館視聴覚室にて行われました。例年は記念講演を開催しているのですが、今年はコロナの影響で総会のみとなりました。最初に原田会長の情勢報告を兼ねたあいさつで始まり、その後、報告と討論を行いました。10名と少人数でしたが、討論は活発に行われました。今年は、静岡青年労働学校実行委員会の開催や、県下の労組・民主団体を訪問するキャラバン行動を行ってきましたが、残念ながら成果の見える結果にはなっていません。今後はネットも活用しながら、勤労者通信大学の学習会も検討しようということになりました。

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『経済』9月号 「大企業の金融重視経営への転換とアベノミクス」(藤田宏)の読み合わせと意見交換する


静岡市社会科学学習会は、9月15日(火)「現代経済学習会」を「アイセル21」で開き「大企業の金融重視経営への転換とアベノミクス」を読み合わせ、意見交換を行いました。

 討論では「論文の中で『本業以外の財務・金融活動で生まれる金融収益重視の経営に本格的にシフトするようになった』と書かれているが、自ら進んで金融収益重視の経営を選んだのではなく、選ばざるをえなかったのではないか」「日本は世界で唯一経済成長できない国と言われているが、多国籍企業は業績を飛躍的に伸ばしている。利益を生み出すならば、金融重視経営も積極的に選ぶのではないか。日本経済が停滞してもかまわない」「以前は日本製品の技術力は世界の中でトップであったが、今では大きく後退しコロナワクチン製造、情報産業でも技術的に立ち後れている。それが金融重視の経営に拍車をかけているのでは」「日本のもの作り産業が大きく後退している原因は、アメリカからの圧力が原因ではないか。アメリカからの要求書、構造改革協議などを通じて『規制緩和』の名前で経済政策が変えられた。また、企業の長期的な成長を展望しての経営から、企業は株主の物の立場から当面の利益確保を優先する企業経営になった」「付加価値配分も営業純益への配分率が異常に増大している。逆に労働分配は低下している」など意見が出ました。

◆次回、日時は、10月17日(火)午後6時30分~8時30分。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、「『現代貨幣理論』(MMT)は積極財政の根拠たりうるか」の読み合わせ討論。持ち物は、『経済』2020年10月号。

第17回「日本と世界の近現代史」学習会 第3章20世紀末~21世紀初頭の資本主義」世界の5、日本の章を学習する


 静岡市社会科学学習会は、第17回学習会・夜の部を9月11日に開き「『資本論』を読むための年表」の「第3章20世紀末~21世紀初頭の資本主義」世界の5、日本の章」を読み合わせ、意見交換を行いました。この学習会は、8月に計画していましたが諸事情で11日に行いました。

 意見交換では「テキストで『世界史的に見て、資本主義体制の客観的矛盾が深まっているにもかかわらず延命している理由を考えて見ると』として3点上げているが、その中に『変革主体の未形成ー理論・イデオロギー的な立ち遅れ』と言っているが、現在未来社会を切り拓く、社会主義社会をめざす勢力が見えなくなっている。この事が変革主体の未形成と言われる内容ではないか」「日本はあまりにも資本の論理むき出しになっている。ヨーロッパなどは労働者や市民に資本を規制する力がある。労働環境、社会福祉、環境問題、女性の社会への進出などで進んでいる」「日本でも以前は『小さな政府』の立場を取っていた主要野党が『新自由主義』の立場かからの転換があり、民主的な野党政権への展望も開かれつつあると思う。この力を強めていく事が『変革主体』形成に繋がるのでは」「変革主体をどの様に見るか、いろいろな見方があるがテキストの中では『変革主体の未形成ー理論・イデオロギー的な立ち遅れ』とある。この理論・イデオロギー的な立ち遅れでは、著者は別の所で『20世紀後半から21世紀へかけて急速に変貌をとげつつある現代資本主義の分析が不可欠です。世界的な『資本主義の危機』の深まりは、こうした理論的課題が急務となっていねことをあらためて示しています。『資本論』にもとづく現代資本主義の研究は、ますます時代の課題』と言っている。『資本論』の学習が必要になっている」「若い人は、8年間安倍政権の下で生活し、安倍政権以外の政治を知らない。この人たちに市民の要求を実現する政権の姿を具体的に示していく事が必要ではないか」「女性は、20世紀から21世紀にかけて変わってきていると思う。環境問題に積極的に取り組む若い女性、性犯罪に反対する若い女性の取り組みなど以前にはなかった運動が起きている」など意見が出ました。

第13回『資本論』学習会 第4篇、第10章「相対的剰余価値の概念」を学習する


静岡市社会科学学習会は、9月10日(木)第13回『資本論』学習会を開き第4篇「相対的剰余価値の生産」第10章「相対的剰余価値の概念」を学習しました。

 討論では「相対的剰余価値とは、必要労働時間を短くし剰余労働時間を長くし剰余価値を大きくする事ですね」「ここで大切な事は、労働者の賃金は労働力の価値通りに支払われる事で、資本主義が長く生き残るには、等価交換の法則を守ることが大事、現実には賃銀は非常に引き下げられているが」「559ページの『生活必需品をも、それらを生産するための生活諸手段をも提供しない生産諸部門においては、その生産力が増大しても労働力の価値には影響しない』とあるが具体的には」「例えば兵器を生産する部門の生産力が向上しても労働力の価値には影響しないのではないか」「562ページに『こうして彼は、相変わらず1個あたり1ペニーの特別剰余価値をたたき出す』とあるが、ペニーではなくペンスではないか」「新書版の『資本論』では、ここは一ペンスとなっていた。しかし、イギリスではペニーの複数形がペンスで、ペニーは単数形なので1の場合のみペニーを使う」「565ページに『そして商品を安くすることによって労働者そのものを安くするために、労働の生産力を増大させることは』とあるが、ここに何故『労働者そのもの』とあるのか、趣旨からすると『労働力を安くする』と書くべきではないか」「理論的には『労働力を安くする』でも良いと思うが、ここにはマルクスの資本家に対する怒りが込められているのではないか、労働者を金で買い苦しめている事への怒りがある」など意見が出ました。

◆次回は、9月24日(木)午後6時30分より8時30分。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第11章「協業」、第12章「分業とマニュファクチュア」です。持ち物は、『資本論』第1巻(新版、又は新書版の第3分冊)

「日本近現代史を読む」第1回学習会 自己紹介、「増補改訂版刊行にあたって」を読み合わせ、意見交換を行う


 静岡市社会科学学習会は、9月8日(火)「アイセル21」で「日本近現代史を読む」第1回学習会を開き10名が参加し、学習会の進め方、自己紹介、「増補改訂版刊行にあたって」を読み合わせしました。

 自己紹介では「最近の日本と韓国の関係に憂い日本の近現代史に興味を持つようになりいろいろな本を読んでいる。学習会のチラシを見て集団で勉強する事も重要と思い参加した。」、「いろいろな活動に取り組んできた。しかし学習をする事も重要と最近思っていた。その時にチラシを見て参加した」「不破さんの『資本論』全3部を読む」の学習会から参加した。近現代史の学習会も2回参加している。あらためて学びたいと思い参加した」などの自己紹介と合わせて学習会に参加する思いも語られました。

 休憩の後「増補改正版刊行にあたって」を読み合わせ意見交換の中では、「文章に『時期区分をはっきりさせ、それぞれの時期の特徴を明確にする』と書かれているが、時期区分とは何か」「時期区分と時代区分という言葉がある。時代区分とは、日本史で言えば明治時代、大正時代、昭和時代などの事を言い、時期区分は例えば江戸時代を文化史的時期区分として元禄期を中心とする前期と文化文政期を中心とする後期に別れる。時期区分は論者によって違う事がある」「文書に『憲法9条は、一面では日本が侵略した諸国、諸民族に対する贖罪のあかし、不戦の誓いなのであり、この条項にこめられた重い歴史性の認識なしにはその価値は軽くなり』と言う指摘がある。改めて憲法9条を守り、日本外交は9条の立場に立つものに変える必要がある」などの意見が出されました。

◆次回は、日時は、10月13日(火)午後1時30分~3時30分。会場は、「アイセル21」第41集会室。内容は、「序章 近代までの流れ」の読み合わせ学習。持ち物は、「増補改訂版 日本近現代史を読む」です。