労組の組織率過去最低を更新 組合員の関心に心寄せ結集を強めて


2月9日、静岡市内において「学習の友」学習会を開催しました。

 今回は、特集記事「要求の求心力で仲間を増やし、要求を実現するために」(竹下武全労連事務局次長)を読合せしました。厚労省の2023年労働組合基礎調査の結果、23年6月末の労組の組織率は16.3%で、昨年より低下しました。日本の労組は「大企業・正社員・男性中心」の構造です。「組織率低下は労使関係におけるパワーバランスが資本の側を強くすることに働いてしまい、労働者の苦難が増してしまいます。」と指摘します。しかし、ストライキでたたかう労組に注目と期待が集まり、労働者を励ましているとも云います。では、労働者が労組に「関心がない(ように見える)のはなぜでしょうか。」と問いかけます。「自分が今抱えている問題、困難さを言ってもいいのかわからない、あるいは受けとめてもらえそうにないと思っているかもしれません。」「これまでの組合のたたかい方が本気に見えないから距離をとっているかもしれません。労働者一人ひとりがどのような困難を抱えているのか、一番の関心事は何かを対話を通して理解し、その要求を実現するために労働組合ができることをひとつひとつ積み上げていく。その姿が労働組合への結集を強める原動力になる」と問題提起をします。そして、全国の労組の経験を紹介します。おわりに、「要求の求心力での組織化と、仲間を増やして春闘をたたかうことが積極的に受けとめられ、23春闘から実践が広がってい」ると云い、24春闘は「こんなに仲間が増えて要求が前進した!」と言い合えるようにしようと訴えます。 討論は今回時間が足りず、十分にできませんでしたが、次のような意見がありました。「『いったんは組合加入申込用紙に記入した新入職員が後日集団脱退したという報告が各地から寄せられ』た、とのことだが、静岡でも聞いてるか。」「・・・?」「三重県の話だが、ある労組でいくつか職場のある中で、一つの職場支部の全員が脱退したと聞いている。」「何かの圧力があったのかな。」「幹部請負的運営がされていて、一般組合員は『入っていても入らなくても変わらない』、との受止をしていたようだと報告があった。」「雇用者数は6千万人くらいいるのか。」「組織率は公務員も入っているが、ここでの規模別組合員数は、企業でと云っているので、公務員は入っていないと思う。」「ちなみに静岡県の組織率は16.5%だ。」など、組織強化の課題をどう克服するのか。今後も考え実践が求められます。

静岡地区春闘学習会


2月3日、「あざれあ」において静岡地区春闘学習会が行われ22名が参加ました。「大軍拡の背景にあるアメリカ世界戦略と私たちのくらし」と題して、増田正人氏(法政大学教授)が講演しました。
日本の大軍拡はアメリカの要求によるものですが、アメリカの世界戦略が中国との関係では、米中蜜月の時代から米中対立という関係に変化してきました。
中国は1978年以降の開放政策で、アメリカ・欧州の多国籍企業を国内に誘致し、相互依存関係を強め、経済的封じ込めができない状況を作る路線を進めました。
またアメリカは1995年のWTO発足を契機に知財重視の世界戦略をとり、多国籍企業化を進める中で高成長を実現するために、アメリカ国内の労働集約的工程を発展途上国に移転し、その生産基盤を提供したのが東アジア諸国、特に中国でした。
中国は世界の工場として、アメリカICT企業の調達拠点となりましたが、製品に占める付加価値部分はアメリカの企業が獲得し、単なる生産の場としては中国経済の発展は望めないという認識になりました。2009年から中国の路線転換が始まり、低賃金と豊富な労働力に依拠した生産から、IT産業等先端産業の保護育成に取り組み、建国100年の2049年までに製造強国のトップをめざすとしています。
2017年のトランプ政権の登場から、アメリカの対中関与政策は転換し、バイデン政権になっても対中封じ込めの強化は変わりません。アメリカの目的は、先端技術とデジタル社会における利益の独占の維持と、中国に対する軍事的優位の確保です。
ただし最先端技術以外の工業製品、資源・エネルギーの生産ネットワークは今までと同じで、米中貿易は2022年に過去最高を更新しています。
バイデン政権の考え方は、気候変動危機に対応する新たな産業技術としてのグリーン・ニューディール政策と軍需産業基盤の確保です。アメリカの軍需産業は、国防上の観点から多国籍企業化してきませんでした。そのため生産コストが高く、それが軍事研究の制約となっています。
アメリカは米中経済の相互依存関係は維持しつつ、中国に依存しない仕組みの構築を図ろうとしています。中国封じ込め戦略におけるカギとなるのが日本です。自衛隊の軍事的強化と基地の運用能力の強化、そして日本の武器購入はアメリカの軍事産業基盤を強化し、さらに日本企業をアメリカの軍事産業に組み込むことにより、アメリカの軍需生産基盤の脆弱性を克服することを狙っています。
もし「台湾有事」が勃発すれば、被害を受けるのは、台湾、日本、中国等の東アジア諸国です。限定戦争にとどまる限り、アメリカや欧州は被害を受けません。アメリカの政策に追随することでは、日本経済や人々の暮らしはますますひどいものになってしまいます。