解雇はスムーズに 時間規制はゆるく-政府が考えるとんでもない職場の近未来


12月8日、静岡市内において12月号を使った「学習の友」学習会が開催されました。

 今月の特集記事「崩される暮らしと権利―ストライキで社会を変える」冒頭、「岸田政権の労働政策をどう見るか?」(本久洋一國學院大學教授)を読合せ討論しました。政府が打ち出した「三位一体の労働市場改革」について、「一言でいうと、現行の雇用慣行とくに正社員制度や終身雇用慣行を破壊することによって、雇用の流動化を実現しょうとするものです。」と指摘します。次に「三位一体」の中身を、①リスキングによる能力向上支援、②個々の企業の実態に応じた職務給の導入、③成長分野への労働移動の円滑化、と分析しています。その上で、①について、政府が「構造的賃上げの第一の柱」としたのは、「低賃金の要因を主に「労働者の職業能力が低いことにあると見ている」と指摘します。②については、ヨーロッパのジョブ型雇用とは全く違い、ジョブ型(職務限定)雇用で、当該ジョブが技術革新で陳腐化したときは、簡単に解雇できる仕組みの導入と見ます。また、解雇の先が①のリスニング対応となる仕組みも見えて来ると言います。③については、「職安行政を雇用の流動化を主眼に組み直す」ものと指摘します。 次に、厚労省の「労働基準法改革」の提案を分析します。一つ目は労働時間規制を「働き方の多様化に適合的に規制方法を柔軟化する」というもの。「生産現場の作業員など」でない「サラリーマン」は、自己管理(業務・健康の)を「支える」とし、「労働時間は自己責任?」と思える提案となっています。二つ目はフリーランス(請負、業務委託)を労働基準法の対象に含め、原則として実労働規制を外して、「裁量労働制」、「高度プロフェッショナル制」を前提にした新たな労働時間規制を主軸として普遍化するとし、「従来と同様の働き方をする人」を例外として、実労働時間規制が適用される。これらが近未来にめざす提案となっているとのことです。 討論では、次のような意見がありました。「ジョブ型雇用は、賃金を下げるとは聞いていたが、ここでは仕事が古くなったら解雇して、新しい変えるようにするというのが狙いということだね。」「それは、最初からの狙いだ。もともとは、限定正社員制度というのがあったが、あまり広がらなかった。それをジョブ型と言い換えた。だから、ヨーロッパのジョブ型とはぜんぜん違う。成果主義そのものだから。」「フリーランスを労働基準法の対象に含めると言うと、何か良いことのようだが。」「逆にフリーランスの状態を当たり前にしようとするものだ。」「労働者と認めるが、時間規制はないよということか。」「それを標準にする。ちゃんと場所と労働時間を守って働く人を例外的にする「それを標準にする。ちゃんと場所と労働時間を守って働く人を例外的にするわけだ。」「時間規制がなくなるのが原則で、現場の人しか規制しないとゆうふうに変えようと言う事か。」「コロナでホワイトカラーがホームワークになった。それを標準にしちゃおうということだよね。」「労働基準法の考え方を根底から覆す考え方だ。」「これではもう労働基準法ではない。」「そうだ。ただまだ厚労省の研究報告の段階だが。」「2000年代に労働契約法ができ、雇用関係は契約法に移った。そうすると基準法は罰則があったが、契約法はない。民事的な解決となった。それを更に進める動きだ。規制から逆の方向に行こうとしている。」「現場の力関係にまかせるということでしょう。圧倒的に労働者が不利になるのは分かり切っている。」「組合があるところは、多少悪い組合でも一応力関係としてはあるわけだ。ところが、組合が無いと会社の言いなりとなる。」「強制労働と最低限の規制はするが、あとはない。」「今もほとんど強制労働状態のところがある。」「本人が辞めたいと言っても辞めさせないとかね。」など、恐ろしいような近未来を、政府は考えていることがわかりました。