最賃1500円は説得力増す-人たるに値する生活保障の賃金が必要


3月8日、静岡市内にて「学習の友」学習会が開催されました。

 今回は、「最賃1500円運動の意義、今後の展望」(中澤秀一静岡県立大学短期大学部教員)を読合せ討論しました。2023年最賃は、引き上げ率4.5%引き上げ額43円、全国加重平均額で1004円となったものの、物価高騰に賃金上昇が追いつかない状況が続いており、最賃1500円が「ますます説得力をもってきた」と云います。1500円の根拠は、全労連、地方組織が取り組む「最低生計費試算調査」です。この調査で、①労働者が普通に暮らすためには月額24~26万円が必要。②生計費は全国どこでも大きな差がない、ことがわかりました。最賃制度は、労働基準法第一条「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定めており、最低賃金で普通に暮らせることが強調されるべきで、そこに制度の本質や存在意義があると云います。最賃の審議会は議論において「支払い能力論」が強い影響力をもっているが、それは「排除されなければなりません。」と言い切ります。もちろん体力のない中小企業への直接助成等の実現も必要とします。最後に最賃運動のもう一つの目標として、「全国一律制度の確立」も挙げます。2023年制度の見直しにより、4ランクから3ランクに変更しました。根拠をもとにした運動の成果と指摘し、今後も社会の共感を得ながらターゲットを見定めた戦略が重要と云います。討論では、次のような発言がありました。「全国加重平均で千円超えたというけれど、5つか6つくらいでしょ。東京都、神奈川、大阪、名古屋とか人口が多いところのだけだ。」「20ページに税制上の壁が『106万円』とあるが、誤りで103万円だ。」「17ページの最低生計費試算調査の結果表を見ると、必要最低賃金額AとBの中間ぐらいが実態で、1500円~1600円くらいだ。」「静岡は載っていないが静岡の生計費は高かった。」「東京は家賃は高いが、自動車は入れていない。地方は自動車が入るので、都市と地方はあまり変わらないという結果だ。」「18ページの『標準生計費』は随分低い。生活保護基準くらいでは。」「生活保護と最低賃金との整合性を考えているので、今は最賃が高い。」「いずれにしても全部安すぎる。今はチャンスで潮目が変わりつつある。日産の下請けたたきが話題になっている。中小の支払い能力がなんとかならなければ何ともならない。世論が盛り上がってこないから。」「大企業が適正価格で中小に支払うことが必要だ。現実的に引き上げようと思ったら、政府の援助も必要だが、物価が多少高くなろうがそれなりの給料を払った上で、経営が成り立つ利益が出るのでなければ、継続していかない。」「大企業の監視、罰則規定の強化などをしつつ中小への価格の適正化も必要。」「外国には、公正な条件にさせる法規があると思う。」「今でも監視制度はあるが罰金が安い。毎年指摘がされる事態が、見つかっているだけで8千件もある。摘発されれば本来は減っていくはずだが、減らない。」「外国では、中小の直接支援をやったが、日本も提案はしているが、小企業は直接的、中企業は中期的な支援を経営者調査では求めているようだ。1500円となった場合、全体の労働者からの所得税の納税額が増えるが、その分で中小企業に配分すると、社会保険料の金額を賄うことができる。そうした配分の提起もこちらからしていかなければならない。」「フランスが中小企業分の社会保険料を減らして、賃上げの原資の確保をしているようだ。」

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