第17回『資本論』第二部学習会 第19章「対象についての従来の諸叙述」第1節と第2節を学習する


静岡市社会科学学習会は、3月24日(木)「アイセル21」にて『資本論』学習会を開き、第19章「対象についての従来の諸叙述」第1節と第2節を学習しました。

 討論では「ケネーは、農業部門だけが新たな価値を生む生産部門だと思っていたと言う事だが、農業部門が何故新たな価値を生むのかと言う事について、自然の成長や繁殖と言う事が書いてあるが、農業部門の労働者が価値を生む労働と考えていた分けではないのか」「ケネーは、自然の成長過程が新しい価値を生むと考えていた。労働者をどの様に見ていたのかと言う事だが、当時は封建制の社会であり、日本で言えば江戸時代と同じだと思う。だから当時は農業労働者は存在していなかったのではないか」「『資本論』からの引用でスミスの『退歩は『固定』〔資本〕および『流動』〔資本〕が決定的に区別として把握され固持されていたことにある』とあるが、これは資本を可変資本と不変資本としての把握が出来ないと言う事を言っているのか」「先ほどの引用の少し前に『ケネーがそう見ていたように……再生産過程の重要な契機としてみるのではなく』と言っている。だからスミスは、再生産過程の契機として不変資本の更新を見落としていた点にあるまではないか」など話合いました。

◆次回は、4月14日(木)午後6時~8時。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第19章「対象についての従来の諸叙述」第2節3と4と5、第3節。持ち物は、『資本論』(新版・新日本新書版の第7分冊)。

第9回「多国籍企業と日本経済」学習会 「インターネット通販大手のアマゾンとアリババ」の読み合わせと意見交換をする


静岡市社会科学学習会は、3月15日(火)「多国籍企業と日本経済」学習会を「アイセル21」で開きました。「インターネット通販大手のアマゾンとアリババ」を読み合わせし意見交換を行いました。

3月15日の「多国籍企業と日本経済」学習会の様子

 意見交換では「テキストの144ページに『そもそも通販を実店舗の流通と比べた場合のデメリットとして、商品がすぐに手元に届かないことと、配送費などの追加の費用が必要になる』と言っているが、アマゾンは、翌日配達とか配送費の無料化で、このデメリットを打ち消す努力をしている。ある意味理にかなった方法で、巨大な成長をした。しかし、これを実現した闇の部分として、労働者に低賃金と重労働を強いている」「テキストの151ページに『庫内業務を実際に担う現場労働者は請負業者が雇用した非正規労働者もしくは派遣労働者である』とあるが、アマゾンの正社員ではなく、庫内業務を請負業者か、または派遣労働者で行っている。多くの大企業でもやっている事だが、非正規労働者、派遣労働者に最低賃金で過酷な労働を強制しそれが巨額の儲けにつながっている」「アマゾンが消費者に喜ばれているとしても、良いサービスの実現が正常な取引を阻害したものであったり、労働者や配送業者に対する搾取などを通してその結果が市場での占有率を高めている事は、正常な社会の姿ではない」「テキストの151ページでフランスでは『反アマゾン法』が制定され、その目的が中小の書店を保護する立場から、オンライン書店が書籍を無料配達することを禁止した。とあるが同じ事が日本で実現するのかと言うと難しいと思う」などの意見が出ました。

◆次回は、日時は、4月19日(火) 午後6時~午後8時。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、「Amazonにみる流通分野の新展開と「反Amazon法」」の読み合わせ、意見交換。持ち物「多国籍企業・グローバル企業と日本経済」です。

第16回『資本論』第2巻学習会 第3編「社会的総資本の再生産と流通」第18章「緒論」学習する


静岡市社会科学学習会は、3月10日(木)『資本論』2巻学習会を開き、3編「社会的総資本の再生産と流通」第18章「緒論」を学習しました。報告の後意見交換をしました。

意見交換では「第18章の表題が『緒論』と緒という文字が使われているが、何故この緒という文字を使ったのか」「諸という文字があるが、これは、物が多くある、もろもろという意味がある。緒の方は、物事の始まり発端と言う意味があるので、第3篇の中での第18章の位置づけとから見て緒を使ったと思う」「『資本論』の563ページに『だから貨幣資本は全過程を起動する原動力として現れる』とあるが、この意味は何か」「同じ所に『貨幣資本は、……資本としてのその過程を開始するさいにとる形態』とある。貨幣資本の全過程の出発点をなす形態という意味ではないか」「『資本論』の569ページに『社会的生産のもとでは貨幣資本はなくなる。社会が労働力と生産手段をさまざまな事業部門に配分する。生産者たちは、たとえば指図証券を受け取って、それと引き換えに、社会的消費在庫のなかから自分たちの労働時間に相当する分量を引き出すかもしれない。この指図証券は貨幣ではない。それは流通しない』とあるがどの様な事か」「将来の共産主義社会は商品交換社会ではなくなる。そのため商品交換に必要な貨幣もなくなると言う。貨幣ではなく指図証券で生活に必要な物を受け取る。この指図証券は労働時間に応じて受け取る生活物資の量が違うという事ではないか」「さらに生産力が高くなれば、指図証券なくなり、自由に生活物資を受け取ることの社会、譲渡社会になると言う事ではないか」などの意見が出されました。

◆次回は、3月24日(木)午後6時より8時。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第19章「対象についての従来の諸叙述」第1節、第2節1と2。持ち物は、『資本論』第7分冊。

日本の異常な低賃金を許すな!!仲間の団結で社会的賃金闘争の勝利を


 3月9日、静岡市内で「学習の友」学習会が開かれました。

今回は、特集記事の「22国民春闘 大幅賃上げ・底上げへ潮目かえよう」(黒澤幸一全労連事務局長)を読み合わせしました。黒澤氏は、「日本の賃金はなぜ上がらないのか」その回答として6つ原因を指摘します。①「管理春闘」と労働組合の要求自粛、②格差賃金の放置、③不充分な最低賃金や労働法制、④労働組合の組織率低下と賃上げの社会的波及システムの欠如、⑤公正取引の未確立と脆弱な中小企業政策、⑥政府による賃下げ。そして、職場における春闘交渉での使用者の「呪いの言葉」(コロナ禍だから、いまは仕方がない等々)を乗り越えるために、国民春闘に結集しようと呼びかけます。以下討論。 「韓国最大手製鉄所の平均年収が960万円と書いてある凄い。」「同一労働同一賃金で賃金下落に歯止めを、と言っているが、実際今の企業はこの言葉を使って、上を下げて賃下げをしている。そういうことも指摘して展開しないとと思う。」「ワークシェアリングがそうした考えのもとにやっているよね。」「なので、もう少し丁寧な書き方が必要だ。」「もともとヨーロッパで男女間是正で同一労働同一賃金の要求であったが、日本の場合法律で決まっているのは、雇用形態別の同一労働同一賃金だ。正社員と非正規の差別をなくすということで、正社員どうしとか非正規どうしとかは対象外だ。ヨーロッパは、正規・非正規でも同じ賃金となっている。日本は特殊で、それを経営側に利用されている。ここらが一つの力関係になってくる。」「交渉時の使用者の呪いの言葉はあるが、どう労働側はこれに応えるのかが書かれてないね。」「6つの原因は、日本全体の問題として指摘をしている。渉で出る『呪いの言葉』は、たぶん中小企業の現実の姿だ。全労連が指摘しているのは、社会的賃金闘争といって最低賃金とか、公契約、人勧とか、社会の制度を変えることによって落ちこぼれなく引き上げて行こうというもの。会社だけでやったら、将来が見えなくなる。その場合中小企業に対する支援は絶対に必要だし、全労連もそれを云っている。そこらが出てくるともっとわかり易い。」「大企業の内部留保を社会に還元せよ、と共産党あたりは言っているが、それによる賃金引上げをというのが、記事にはないがそこの要求はないのか。」「労組も内部留保を吐き出せということで、春闘要求として掲げてきた。内部留保何%で何万円の賃上げはできると宣伝したりした。その前提の企業の内部留保を調べることを、国公労連などは協力してきた。」「内部留保吐き出せというのは大企業に対しての運動で、トヨタ総行動、スズキ浜松、などでやってきたが、静岡市あたりではあまりないね。」

「日本近現代史を読む」第18回学習会 第16章「中国戦線の日本軍」①日中戦争とアジア・太平洋戦争の連続性、②中国戦線の日本軍、③日本軍による戦争犯罪など学習する。


静岡市社会科学学習会は、3月8日(火)「アイセル21」で「日本近現代史を読む」第18回学習会を開き、第16章「中国戦線の日本軍」を読み合わせ、①日中戦争とアジア・太平洋戦争の連続性、②中国戦線の日本軍、③日本軍による戦争犯罪、④臨時軍事費からみた戦争の性格、⑤戦争未亡人を読み合わせ、意見交換を行いました。

3月8日の「日本近現代史を読む」学習会の様子

 意見交換では「日米交渉の争点でハル・ノートの事が書かれているが、何故日米の交渉が行われたのか」「41年11月5日の御前会議で11月末までに日本側の要求(対日経済封鎖の解除)が実現できなければ12月初旬に開戦する事を日本は決めていた。ハル・ノートは11月26日に出され、その内容はアジアを満州事変以前の状態に戻すことを日本に要求する内容だった」「日本は、イギリス、アメリカ、フランスの4カ国で決めたワシントン体制を打破する事を目的に戦争を始めた。その背景には経済恐慌の問題、ロンドン軍縮会議の問題、そして満州事変の問題などかある」「南方では兵站がないので、物資がない、食料がないので日本軍の死亡原因はほとんど餓死だった。なぜこのような無謀な戦争をしたのか」「資料の中でも日本軍の兵站能力が乏しく、食料なども現地での調達になっていくが、協力が得られないと略奪行為が行われた」「アメリカなどは硫黄島作戦の時には、病院船を戦場において、傷病者が出るとすぐに治療をする事までやっていた」「日本の軍事費の事が書かれているが戦争中の軍事費はどれくらいの割合を占めていたのか」「資料の中に国家予算に占める軍事費の割合というグラフがあるが、80%を超えている」「莫大な軍事費をまかなうため国債が発行され、日銀が引き受けていた。これを反省して今の財政法では、国債を禁止している」など意見が出されました。

◆次回は、4月12日(火)午後1時30分~3時30分。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第17章「大東亜共栄圏というスローガンの下で」。持ち物は、「増補改訂版 日本近現代史を読む」です。

環境問題学習会


3月5日、あざれあ会場とZOOMにて、静岡県学習協の主催で「気候危機・感染症・環境破壊を考えるー環境問題と労働運動・社会運動ー」と題して、多羅尾光徳氏(東京農工大学 准教授)がオンラインで報告されました。

人が生きるために必要な資源と排出する廃棄物は、動物として生きる場合と日本で社会生活する場合とでは大きな差があります。例えば必要な水は1人1日当たり、動物としては0、17リットルですが、社会生活としては1800リットル必要となります。

自然生態系の基本的な姿は、植物と微生物の間の循環です。地球に存在する生物量を炭素量で表すと、植物が4500億トン、微生物が210億トンに対し、ヒトはわずか0、6億トンにすぎません。

人の活動は地球の回復力の限界内に抑える必要があります。すでに生物多様性や窒素・リンの循環は回復力の限界を越えるリスクとなっています。また気候変動や土地利用の変化もリスクが上昇しています。

労働運動・社会運動として、本来払うべき費用を資本家たちに支払わせること、人々の共有財産(税金・資源)を人々のために使わせることなどを求めることが重要です。そして労働組合が環境問題に取り組んでいくようにするために、とりあえずSDGsの中にある労働に関わる部分をクローズアップしていくことが多くの人の関心を呼び起こすと思われます。

日本社会の変革をめざして―第8章 日本がどのような現状にあるか どう変革をしていけばといのか

3月1日アイセル21において、勤労者通信大学基礎理論コーススクーリングの第9回学習会が開催されました。

今回は、第3部 たたかいと社会進歩 第8章 日本社会の変革をめざして です。講義では、レジメにそって、説明がされました。特に、日本国憲法の制定までの経過や、天皇の戦争責任について、別途資料がつくられて、詳しく語られました。戦後日本社会の支配のしくみのついては、安保体制下の状態の説明がありました。そうした日本社会の民主的改革については、労働組合運動と統一戦線運動の変遷を中心に、説明がされました。今回も広範囲であった中で、よく準備がされた内容で、チューターの大変さが分かりました。お疲れ様でした。

 以下は、質疑討論の一部です。

〇戦前の日本は、ファシズムと呼ぶのかどうか。
〇NHKの高校生講座などは、ファシズムと言わない。
ファシズムとは何か。日本も当てはまってしまうと
思うが。当時は天皇が中心で、少なくとも民主主義
国家ではない。
〇ファシズムの国だといえる。日本は海外へ侵略して
いった。ドイツ・イタリアは独裁者がいたが、日本は天皇
が侵略の旗振りはやってないが、天皇絶対体制はあって、軍部が力を増していって、天皇が引きずられた。
軍部は、国民の世論を先導している。マスコミもそれに乗っかって宣伝する。御前会議で決めているから、天皇の責任は免れない。
〇山田朗著書で、「天皇と戦争責任」で天皇の戦争責任について指摘している。天皇は統帥権を一手に握っている。積極的に関与している。
〇コトバンクで、日本のファシズムについて書いてある。天皇制ファシズムと呼ばれる。明治憲法体制の下で、国民の天皇信仰を背景に、軍部官僚による上からの強権的国家体制を形成した点で、下からの革命をめざして国民を組織し、ファシズム政権を獲得したイタリア・ドイツとは様相を異にする。とある。
〇簡単に言うと独裁主義だ。大衆を積極的に動員して、市民の自由人権を無視する。国家主義を掲げる。イタリア・ドイツを云う。日本は大日本帝国憲法をつくっていく過程をみると、自由民権運動を弾圧して欽定憲法をつくっている。上から弾圧した独裁憲法だ。広い意味でファシズム国家と規定していいと思うが。
〇今の日本を見たときに、ドイツやイタリアのようなファシズムが起きてくる可能性はある。国民の新しい意識の問題としてある。
〇市民革命と明治維新の違いはどこにあるのか。担い手と掲げていた要求の問題と思うが。
〇市民革命は自由・平等を掲げることが必要だ。明治維新はない。
〇市民革命はブルジョアジーが主導権をとった。自らの階級権力を確立するために封建制勢力とたたかう。
明治維新は、外国からの開国と国の在り方をめぐる支配層の中での争いだった。背景としては、民衆の不満・農民が分裂して資本家階級化はあるが、資本家階級も封建制政治と妥協して自らの力をつけていく。明治維新は、ブルジョア革命とは言えない。
〇自由民権運動は、豪農が運動に参加し主導権をとっていく。そういう点では民主主義的な側面はあった。結局は弾圧されていくが。
〇日本国憲法は明治憲法の改正として出来ている。中身が全然違うのに。廃止して新しくというようになんでならなかったのか。
〇形式的に改正ということだ。まったく違うものだが。
〇形の上では帝国議会で決まった。普通選挙で憲法制定議会をつくり憲法を制定する。
〇事実上明治憲法は停止している。
〇次回は未来社会論だが。当面野党が政権を取ったときに経済政策がどうなるかに興味がある。共産党が内部留保に課税しろ、グリーン投資をしろと言っている。国会審議で「新しい資本主義」部会があるが、現状分析がほぼ共産党と同じ事を言っている。内部留保が正常に回っていない、回すべきだと言っている。以前経済企画庁がありすごい権限があった。経済方針があった。今は目先で動く傾向だ。