労組執行部のメンバー3名が受講している。学習会は、今回で5回目。
組合事務所での学習会は、5月末にスタートした。一回目はお互いの自己紹介の後、報告をチューターの長坂が行った。これからの日程説明とこれからの進め方を協議して、テキストの構成を説明し、「第1章 労働組合とは」に入った。テキストをもとに話をし、労働者階級の内部構成の変化の表、非正規雇用労働者の内訳などを資料として説明に使った。2回目からは、3名の受講者が輪番で分担して、テキストをまとめてレポートする方法で行うことにした。
6月末の2回目は担当者が5ページにわたってテキストの要点をまとめたもので説明した。3名とも勤務が忙しくて、あまり論議はできなかったが、チューターが途中で職場の実態の質問をしながら内容の確認もした。
3回目、4回目は次の担当者がすすめていったが、チューターが参加できず、詳しい様子は分からない。
5回目(第5章;労働組合を強く大きく)を、9月25日に行った。受講者3名はともに豊富な組合活動の経験があり、学習の理解が進んでいるので、今回は、テキストの内容のポイントを押さえながら、テキストの内容との関わりで、今の職場で抱えている課題を出し合って論議をして行ければというチューターの事前の提起に応えた進め方をしてくれた。当局の管理上の問題点に対して、具体的にどう取り組めばいいのかで、これまでにない時間をかけた意見交換ができ、3名とも一定の見通しを得た学習会になったと思う。
3名のうちの一人は、2回目のテストも郵送するばかりのところまできている。
次回の6章で終わりになるが、さらに充実した学習ができるようにしたい。
報告・長坂
最近、ネットで許萬元(ホ・マンウォン)氏が、すでに2005年に逝去されていたことを知った。ヘーゲル研究の第一人者であったと思う。
私が20代の時(1977年頃)、東京の労働学校で「弁証法」の講座(12回)があり、その講師が許萬元氏だった。弁証法の論理や、ヘーゲルの著作をわかりやすく解説する許萬元氏の講義を、夢中になって聞いていた。
すでに主著である、「ヘーゲル弁証法の本質」(弁証法の理論 上巻)、「認識論としての弁証法」(弁証法の理論 下巻)、「ヘーゲルにおける現実性と概念的把握の論理」を出されていた。
講義の後、駅へ向かう道を歩きながら、許萬元氏に「次の著作は何ですか」と聞いてみた。氏の答えは「資本論の論理」を考えているということだった。
私は、「資本論の論理」が出版されることを、心待ちしていた。残念ながら、それは叶わなかった。ヘーゲルに対する深い理解と、それを労働者にやさしく教えようとした許萬元氏に感謝を捧げたい。(多田)
9月17日(火)午後5時45分より、約1時間にわたり学習会を行いました。受講生4人が参加しました。最初にチューターの多田が、レジュメに基づき報告し、その後自由討論を行いました。
今回のテーマは「理論と実践」と「社会と社会の形成」です。
理論と実践
事実から出発すること、本質をとらえて働きかけること、世界を変える人間の力を拡大していくことが重要です。
理論とは、ものごとを説明するためのまとまった知識です。実践とは、一定の目的をもって自然や社会に働きかけ、それを変革する人間の活動です。例えば、労働、実験、労働運動などがあります。
認識と行動が結びつくためには、価値判断が必要になります。
マルクスの言葉を紹介します。「哲学者たちは、世界を様々に解釈してきただけである。肝心なのは、それを変革することである。」(フォイエルバッハに関するテーゼ11)
社会と社会の形成
人間の生き方の特徴として、次の3点があげられます。
①ものを生産して生活している。
②精神的生活をしている。
③複雑な社会関係のもとで生きている。
人間社会とは、生産をもとにした人と人とのつながりの総体を意味します。
マルクスは次のように言っています。「人間的本質は、その現実性においては社会的諸関係の総体である。」(フォイエルバッハに関するテーゼ6)
人類の誕生は600~700万年前で、直立2足歩行を始めました。
自由になった両手で、道具を使う活動=労働を行い、労働によって人間がつくられました。
道具としての石器の製作、自然の性質を理解し先を見通す力の獲得、集団労働の合図としての言語の発生、肉食生活などで、人間が発展してきました。
労働は集団的・社会的活動で、協働という形で行われました。労働によって、群れ関係から人間社会へ変化してきました。
最初の人間社会は、原始的な共同社会で、血縁的な小集団で、助け合いながら生活していました。農耕と定住が始まったのは1.2万年前で、その後、人口増大や余剰生産物が増加します。
文明社会は、6000年前、メソポタミア、エジプト、中国、インドなどで発展しました。生産力の発展や生活水準の向上が行われる反面、富の収奪や権力による人間支配、いわゆる階級社会が生まれました。
以上
今回は9月11日4名が参加し、いつもの通り読み合わせ討論を行いました。
学習したところは、37ページから52ページの「雇用の悪化を促進する安倍政権の
労働政策批判-『日本的雇用慣行』の転換を中心に」脇田滋龍谷大学教授の特集
記事です。脇田氏は「はじめに」の中で、1980年代以降日本の雇用労働の大きな
「劣化」がされたが、安倍政権は「労働改革」の名のもとに、それを更に推し進めよう
としている。そこで、大戦後の「日本型雇用慣行」を振り返り、安倍政権の問題点を
考えたいとしています。「日本型雇用慣行」の特徴は、①学校新規卒業者採用と定
年までの長期雇用②企業内職業訓練 ③年功処遇 ④企業内福利厚生 等が中
心としています。しかし、これには次のような「影の面」があるとしています。①大企業
と中小企業との労働条件の格差 ②法や全国協約の明文での企業を超えた規制が
弱く、労働条件が労使間の力関係で崩れやすい。 ③正社員は男性、女性の性差
別的な「男性片働き」モデルが前提。 ④「非正社員」の「均等待遇」保障がない。
そうした弱点をついた改悪がされていきます。70年代「日本的パートタイム労働」が
公認。80年代からは、フルタイム非正規雇用(派遣)の拡大。女性差別雇用として
の「限定正社員」制の提言。90年後半からは、従業員を単に「人件費コスト」と見る
考えが広がりました。働く者の力で、今雇用の根本的転換が求められています。
次回学習会は次のとおりです。10月号を持って
どなたでもお気軽にご参加ください。
日時 10月2日(水) 午後7時から
場所 静岡県評会議室 次回は第1水曜日です。お間違いなく!
勤労者通信大学スクーリング兼憲法学習会Ⅲが、2013年8月31日(土)15:00から静岡県評会議室において開催されました。勤労者通信大学受講生と一般聴講者を含め17名が参加しました。講演は「日本国憲法と働くルール・社会保障」、講演者は原冨悟氏(埼玉学習会議代表委員、元埼玉労連議長、勤通大労組コース教科委員、労働者教育協会常任理事)です。
講演内容は以下の通りです。
1.働くことと社会保障
(1)労働者の貧困を想像してみる
埼玉県内中小企業の平均賃金は、正社員312,829円(残業20,627円含)、男性336,666円、女性240,035円です。これに対し、S市の生活保護は、4人家族で301,270円(教育・住宅扶助・養育加算込み)となっており、正社員の平均賃金で残業がなければ、生活保護以下です。また母子家庭の3人家族で、生活保護293,940円(教育・住宅扶助・養育加算込み)となっており、女性の残業込みの賃金でも足りません。
就労世帯の10.4%、就労母子家庭の7割が生活保護基準以下の収入です。また稼働世帯で、可処分所得が生活保護基準よりも低い世帯は25.1%です。
埼玉県内の失業者数は17万人、このうち就職者は6千人、失業給付受給者は2.9万人(12年、月平均)となっています。
日本の自殺率は10万人当たり25人ですが、生活保護受給者の自殺率は55人と倍以上あります。
年収200万円で、国保料は27.4万円、国民年金18万円を支払わなければならず、社会保障負担が貧困に追い打ちをかける制度となっています。
(2)「構造改革」がもたらした格差構造
1997年と2010年を比較すると、企業の経常利益は15兆円から25兆円、大企業の内部留保は143兆円から266兆円と増加しています。また企業が保有する現金・預金は12年度末で225兆円と過去最大となっています。
これに対し、民間の平均給与は1997年と2010年では、467万円から412万円へ55万円低下しています。非正規雇用は、1995年に1001万人(20.9%)でしたが、2012年には2042万人(38.2%)と増加しています。ちなみに日産のゴーン社長の年収は9億8700万円で時給にすると47.5万円です。
2.安倍自民党がめざすものと労働者の暮らし・権利
(1)アベノミクスの5本の矢
安倍首相は「世界で一番企業が活動しやすい国にする」と言って、金融緩和、財政出動、成長戦略、社会保障改革、消費税増税を進めています。規制改革会議は、限定正社員、労働時間の規制緩和、派遣労働の拡大を提起し、産業競争力会議は事業再編や解雇規制の緩和を提起しています。
(2)進行する税・社会保障の一体改革
消費税増税は既定路線であるかのように、押し付けようとしています。社会保障改革推進法は、「三党合意」によって2012年8月に成立しましたが、日弁連会長は「国による生存権保障及び社会保障制度の理念ものものを否定するに等しく、日本国憲法25条に抵触するおそれがある」と声明を出しました。
3.日本国憲法と社会権
日本国憲法における社会権の構造は、基底に憲法前文があり、25条で生存権保障、26条で教育権、27条で勤労権、28条で団結権をおいています。労働組合法は、戦後の民主化の過程で、憲法に先んじて制定されており、民主主義と経済復興の担い手として、労働組合が位置づけられています。
4.憲法を活かすことが憲法を守る道
労働者・労働組合のたたかいが、日本経済と社会保障再生のカギです。社会権を拡充していくうえでの労働組合の社会的役割が重要です。世界で一番働きやすい国、世界で一番暮らしやすい国をめざしていきましょう。