人間らしい生活を求め15春闘、大幅賃上げと国民要求実現!


(静岡支部「学習の友」学習会)

2月は、「生計費からみた賃金水準・賃金体系」(牧野富夫労働総研顧問・日大名誉教授)を最初に読み合わせました。労働者が「人間らしい生活」に必要な標準的生計費が、賃金水準決定の基礎であるため、相互の関係を解き、15春闘の賃金問題について、述べています。まず、賃金闘争は賃金を生計費に押し上げる取組みであることを指摘します。資本の強い立場によって、賃金が生計費を下回る傾向が強いからです。次に生計費を構成する要素を明らかにし、労働者と家族の生計費も含むことを指摘します。生計費と賃金体系については、資本が賃金体系の選択にあたり考慮するのは、賃金水準だけでなく、次の3点に集約できると言います。①コストの極小化、②労働者どうしの競争で、労働強化の徹底と団結の破壊、③「労働力流動化」の加速。そこで企業は、年功賃金に代わる職務給・職能給・成果主義賃金など新たな賃金体系を求めて今日に至っていると述べます。15春闘は、昨年に続き「官製管理春闘」なっています。物価が大幅に上がり「生計費」が膨張していること。労働市場が「賃金不足による労働力不足」が広がり、労組の総力でたたかえば大幅賃上げが実現できる情勢になっていると指摘します。大企業の膨大な内部留保の一部を社会保障にまわせという「富の再分配」要求を世論化し、国民春闘として発展をと訴えています。

「弁証法講座」ノート


1978年4月、東京にあった中央労働学院で行われた、許萬元(ホ・マンウォン)氏の「弁証法講座」(全12回)に参加しました。その時の多田の講義ノートを30数年ぶりにまとめてみました。聞き間違い等もあるかもしれないので、内容でおかしな個所は多田の責任によるものです。講師のレジュメにある当初の講義計画は、大幅に変更され、最終的な各回の講義内容は、PDF資料の末尾に付けておきました。私にとって弁証法の理解が大きく進んだ講義でした。弁証法に関心のある人に読んでほしい資料です。(多田)

弁証法講座

トモダチ作戦は「核戦争想定下の米軍実働演習ではなかったか」


                 中谷信和 20150203

 アメリカ軍は2011年3月11日に発生した東北沖大地震・東日本大震災に最大人員1万6000人、原子力空母ロナルド・レーガンや強襲揚陸艦エセックスなど艦艇15隻、航空機140機を投入する「トモダチ作戦」をおこなったことはマスコミや防衛省も大宣伝し、そのことはよく知られています。

しかし、米軍兵士が放射能で被爆したことは、ネットなどで報道されましたが、みんなが知る周知のこととなっていません。

 とくに問題になっているのは原子力空母ロナルド・レーガンで、3月13日から乗員5500人とともに仙台沖・福島沖に展開しました。空母レーガンは80日間、海岸からわずか数km~十数km付近にいてヘリなどで救援作業を続けました。福島第1原発事故の放射能はその8割が海に向かったことはよく知られている通りです。被爆するのが当然の地点に艦艇を派遣したのは米軍司令部の「放射能被爆を想定した」作戦だったと推定できます。原子力空母は、内部に原子炉を抱えてつねに放射能漏れの危険に直面している艦船ですから、放射線測定器は艦内各所に常備していなくてはなりません。

 2012年12月に、トモダチ作戦に従事したレーガン乗組員だった元アメリカ軍兵士8人が東電を被告に放射能障害を訴えて、1億1千万ドルの損害賠償をサンディエゴ連邦地裁に提訴しました。2013年には43人が追加提訴して51人の原告団となり、2014年には原告団は200人を超えました。

 元操舵手モーリス・エニスさんは、作戦終了後、タイへの寄港前に「医学的に健康で疾患なし。政府に訴訟を起こさない」という文書に署名させられました。

 エニスさんは、空母に掲げられていた星条旗を下ろす仕事をしましたが、放射能汚染のうわさが艦内に広がったので気まぐれに同僚と放射能検査を受けた(いつかは不明)ら、同僚はゼロだったがエニスさんの手が放射能汚染されていることがわかりました。何度も手を水で洗い流したそうです。

 ワッサーマンさんは「金属の味のする物質が甲板に雪のように降り積もった」と証言しています。空母が作戦を終え日本を離れる頃になって、ようやく(!)飛行甲板を洗い流す作業をおこなったが、幹部の将校やパイロットにだけヨウ素剤が配布されていたことを原告の兵士は後になって知らされました。

 原子力空母レーガンは、水を海水から塩分を取りのぞいて使っています【飲み水は不明です】。もちろん、レーガンの周囲の海は高濃度の放射能で汚染されていました。

 NRC文書によれば、3月13日、レーガン上空の放射線量(ガンマ線測定値)は、

6μシーベルト/毎時(つまり現在の浜松市内0.03μSv/hの200倍)でした。もちろん、これはガンマ線による外部被曝の数値で内部被曝とα線・β線は含みませんから危険はさらに大きかったわけです。

 原告となった乗員は疾病が多発していますが、国防総省は「全身及び甲状腺に取りこまれた可能性のある汚染物質の最大評価量は、今後の調査をおこなう根拠のあるほど深刻なものではない」とし、乗員はじめ在日アメリカ軍人の連邦政府「医療記録」を中止決定しました。

 アメリカ政府のABCCと日本政府が広島市・長崎市の原爆被爆者の治療をおこなわず、検査だけをしていたのと同じです。

他の米軍艦船や、同海域で活動していた自衛隊員の健康が心配です

  なお、3月17日、福島第1原発上空300フィート(約90m)は87.7mSv/hでした。(『朝雲縮刷版 2011』p99「3月24日」による)

 注1)「アメリカ合衆国連邦政府は46日、アメリカ軍が展開中の「トモダチ作戦」の予算が最大8000万ドル(約68億円)であることを、日本政府に伝えた[7]。」

 普通「トモダチ」に「救援費用総額」を送りつけるでしょうか。

 注2)「「トモダチ作戦は恐らく、放射性環境下では最も有名な作戦になるだろう」、また「この経験は戦略的な価値がある」と作戦に参加した第265海兵中型ヘリコプター飛行隊指揮官は述べている[52]。」

藤枝平和学習会「若者たちとつくる平和への思い」


2月7日(土)、藤枝市文化センターにおいて、藤枝地区労センターと静岡県労働者学習協会の共催で、藤枝平和学習会「若者たちとつくる平和への思い」が開催され、34名が参加しました。橋本純氏が学生と一緒に行っている、平和を考える藤枝の市民団体「エバーグリーン」の活動について紹介をしました。報告では橋本氏と一緒に活動している学生たちも参加し、東北大震災の被災地への訪問と現地の人との交流や、ビキニ事件での当時の体験者からの聞き取りなどを、写真を紹介しながら話してもらいました。以下に報告内容を紹介します。

1、平和とは

「消極的平和」…戦争などの「直接的暴力」がないだけの状態

「積極的平和」…貧困、抑圧、差別などの「構造的暴力」がない状態

「文化的平和」…戦争・紛争・貧困・抑圧・差別などの容認・正当化、無関心な姿勢などの「文化的暴力」が克服された状態

2、戦争とは

①第一次世界大戦の原因は?

②日露戦争時、平民社新聞「諸君と我等とは戦うべき理由なし」の風刺画の意味は?

③ミルグラム実験(アイヒマン実験)で、多くの人が電圧をあげてしまうのはなぜ?

3、「文化的暴力」の克服なしに「積極的平和」も「消極的平和」も実現はむずかしい

「ひとまかせ」が「ファシズム」「無責任」をうむ

4、「平和をつくる」ために

①楽しむ

②「敵」にしない

③いっしょに創る

5、エバーグリーン藤枝の活動

「なんのために学校で学んでいるのか」

「行ってみて、自分で聞いて、自分でやってみて、伝えようとする」

「活動しながら学ぶ」

6、空耳子ども会

「子どもたちにゆたかな時間と空間を」

「若者に手ごたえのある活動を」

7、活動することの意味、遊びと学びと仕事

①楽しく遊ばないとしっかり学べない

②「学び」の目的は「福祉」

③「遊び」と「学び」と「仕事」は同一の価値基準がある

④余暇の反対は仕事ではなく、怠惰である

⑤「豊かさ」とは自分でやれることをふやすこと

8、「楽しむ」ために

①知りたいこと、やりたいことが先

②知ったから動くわけではない

③「責任を負う」ことは「楽しい」

④自分らしく生きたい

⑤学ぶ機会に恵まれた者の責任

⑥自分がつくるのが社会に対する責任

⑦世界や社会は変わらなくても、自分のまわりに実現できる。

 

 

 

「イスラム国」は何故勢力拡大できたのか 現イラク政府の部族迫害が一因 !


今回は3名で、2つの記事を読み合わせ討論しました。 その一つに、「イラクの現実 いまの私たちにできること」高遠菜穂子さんへの取材記事が大変印象にのこりました。高遠さんは、イラクで戦争にまきこまれた人たちの支援、医療活動を取り組み、日本ではイラク現地の状況を伝える活動をしてこられました。まず「イスラム国」とは何かについて、「イスラム国」はスンニ派至上主義の集団と指摘します。大部分のスンニ派は穏健派でその過激思想は相容れない。ただ、現状は黙認したり、サポートしたりもしている。その原因は2つあると言います。一つはスンニ派であっても「イスラム国」を非難すれば即座に斬首されてしまうため。もう一つは現イラク政府の政治にある。「イスラム国」の原型はアルカイダで、2003年のイラク戦争のときイラクに入ってきた。米軍に殺されたスンニ派の遺族に接近し、米軍とたたかおうと訴えますが、そのあとアルカイダが米軍にかわりイラク市民を自爆テロで殺していきます。そこで、スンニ派部族たちはアルカイダを退治するようになります。アルカイダは、イラク北部・シリアに逃げましたが、また「イスラム国」として戻ってきたのです。それは、シーア派の現イラク政府が2005年から現在まで少なくとも3万人のスンニ派を処刑してきたからです。いまイラクは絶望的な状況ですと高遠さんは言います。イラク政府への非難の声をもっとと訴えてもいるようです。

安倍首相らの「慰安婦」制度は許されるとする見識を問う!


今回は参加者が3名でしたが、しっかり学習しました。12月号の特集「歴史認識問題とマスメディア」の中から、日本近現代史・女性史研究者の早川紀代氏の「日本軍『慰安婦』制度について、考えること」を中心に学習しました。満州事変以降占領地と日本国内に、日本軍が「慰安所」を設置し、占領地と日本の女性に日本軍の兵士たちの性の相手を女性たちの意思に反して強いてきたと指摘、この事実を国民の多くが知ったのは、90年代のはじめでした。93年に日本軍の関与を政府が認めた「河野談話」がだされました。10件の政府の公式謝罪、賠償、尊厳の回復を求める訴訟が起こり、さらに国連の諸機関等により、女性たちの状態は性奴隷であったと位置づけられました。しかし、安倍首相はじめ今の政府関係者、議員と国民の一部の人々は、強制はなかったと言い続けています。そこで、筆者は戦前の日本の売春制度と軍隊のありかたについて考察します。江戸時代には幕府・藩が認めた遊郭などの公娼制度があり、売春は公認されていました。これが基本的には戦前まで引継がれ、軍隊所在地に遊郭地も設けられるなど、娼妓も急増しました。また、軍隊での教育は兵士のいのちや人格は紙くずと同じでした。戦地では占領地の人々への民族的差別と女性への蔑視が重なり強姦等が多発。「慰安所」の設置は早くから構想され、多くの女性たちを兵の性欲の奴隷にしたのでした。

大企業は税金ほとんど0円?「税逃れ」のしわ寄せは国民へ


今回は参加者が2名でしたが、しっかり学習しました。今回読み合わせをしたのは、井上伸国家公務員一般労働組合執行委員の「えっ!あの大企業が税金ほとんどゼロ?」です。大企業や富裕層の「税逃れ」に悪用されるタックスヘイブン(租税回避地)が、2010年の調査で、80以上の国・地域に存在しています。本来なら大企業等が税金を納税するところを、「税逃れ」のしわ寄せで庶民増税等、貧困拡大を引き起こし世界的大問題になっています。日本では、東証上場上位50位のうち45社が子会社をタックスヘイブンに持ち、子会社数は354にものぼり、その資本金の総額は8.7兆円にもなります。日本はアメリカに次いで2位です。「税逃れ」の影響で「有害な税の引き下げ競争」が巻き起こると、OECDは警告しています。日本では大企業優遇税制がそのあらわれです。トヨタ自動車はその恩恵によって、2008年から12年の5年法人税を1円も払わない一方、株主には1兆円を超える配当をし、内部留保を増やしています。討論では、「トヨタが『増税が楽しい』なんて言うのは、ふざけた話だ。」「タックスヘイブンという言葉は聞くけれど、実態がわからない。」「ケイマン諸島って、どんな所だろう。」「トヨタは、どうして法人税がゼロだったんだろう。」「消費税増税をごり押ししようとする安倍内閣は、なんとしても退陣させなくては。」等の意見がありました。

民医労静岡支部「学習の友」11月学習会


11月11日(火)「学習の友」11月号の学習会を行いました。5名の参加でした。井上伸氏「えっ!あの大企業が税金ほとんどゼロ?」について、読みあわせをしました。その後、チューターから「タックスヘイブンの実態と歴史」と「還付金が多く消費税収入が赤字の税務署一覧」について紹介をし、自由討論をしました。トヨタでなぜ法人税がゼロになるのか、タックスヘイブンと内部留保の関係は、タックスヘイブンに対する規制は、等の問題が話し合われました。

資本論学習会が開催される


11月9日(日)、県評会議室にて「資本論学習会」が開催され、13名が参加しました。

最初の報告は、多田義幸氏で「『資本論』から学ぶ労働者像」でした。多田氏は資本論の文章と自身の経験を重ね合わせながら、資本に支配された労働者から人間になるための条件とはという問題意識から、以下の6点を指摘しました。①序列による差別意識ではなく、対等な人間としての意識を持つこと、②儲けのための労働にたたかうと同時に、合目的的活動としての労働に働く意味を求めること、③資本のための時間から、自分のための時間を確保し時間の主人となること、④資本の客体としての労働者から、公然としたたたかいによって主体としての人間になること、⑤部分個人から、新しい労働に順応する全面的に発達した個人となること、⑥労働者の状態悪化に対して、社会的連帯により資本の規制を行う変革主体となること。

2番目の報告は、中谷信和氏で「『資本論』から考える「過度期」と「ソ連」」でした。中谷氏はまず、『資本論』が想定する共産制社会を説明し、過渡期とは、資本制から共産制への過渡期、国家は過渡期には存続する、共産制社会では階級・国家・軍隊・警察・強制・暴力・差別は無くなる、市場・貨幣がなくなるかどうかは論争問題と提起しました。また共産制社会への道は、ある程度自由で民主的な社会からしか出発できないとして、めざすのは自由な個人による連合体であるとしました。さらに、ソ連については、法による支配ではない直接暴力による支配であったとして、軍事的警察的国家による国家資本主義と提起しました。

資本論から学ぶ労働者像

資本論から考える過度期とソ連

読後感


「憲法主義」内山奈月(AKB48)、南野森(しげる)(九州大学教授)PHP研究所;2014.7発行

「条文には書かれていない本質」という副題がついていたが、読んでの印象ではその副題よりも「憲法の全体構造がはらんでいる本質を解き明かす」といった副題を付けた方が的を得ていると思える本でした。

現在問題になっていることがらをほとんど取り上げ、「民主的正当性」という切り口で解明していくところは新鮮でしたし、憲法の各条文が持つ意味を深く理解させてくれる好書であり、憲法と法律の違いを深めている展開もよかったと思っています。

「AKB48では恋愛は禁止」が憲法違反になるかどうかで、南野教授と内山さんが意見交換をするところや、講義の後のレポートで内山さんが、自分の考えをさらに深めて示すところなど、今の若者の受け止め方の一端なのかとも思い、興味を持ちました。

何よりもよかったのは、一方的な講義ではなく、問いかけと答えるやり方・進め方で、教える側と学ぶ側が対話をしながら学習を深めていくスタイルが、読者も学習者の一員として学びに一緒に参加しているかのようで、読み出すと止まらない本でした。

若い人に勧めたい本であるだけでなく、憲法はだいたい分かっていると思っている人も読めば、なるほどと頷かせる個所がいくつも出てくることは間違いありません。憲法改悪がいよいよ日程に上ってきている現在、若い人たちが大いにこの本を手にし、読んでくれればと期待します。

2015.2.07

大井 学