「『資本論』全3部を歴史的に読む」第3回学習会開く


「『資本論』全3部を歴史的に読む」の第3回学習会が7月28日(金)に開かれ新しい参加者を含め9名が参加しました。『経済』7月掲載の「『資本論』全3部を歴史的に読む」の「『資本論』第一を読む(続き)」を読み合わせし意見交換を行いました。
意見交換では次のような疑問や意見などが出されました。「デューリングとはどの様な人か」「ドイツ人で当時のドイツ社会民主党の中でマルクスに反対する理論を展開し人で、その後エンゲルスによって批判されその誤りが明らかになった」「『マルクスは、このことを弁証法的転換と呼び』と書かれているが、この弁証法的転換とは」「単純再生産では投下される資本は資本家自身の財産であることが続くが、拡大再生産になると、追加資本に剰余価値が加わり、やがて投下される資本は労働者が作り出した剰余価値に取って代わる事で、この事をマルクスは『弁証法的転換』という言葉で表したのでは」「利潤率と剰余価値率の違いと利潤率の傾向的低下の法則とは」「剰余価値率はm/Vの率だが、利潤率はm/C+Vの率となる。資本家は、Cの生産手段に多く投資し、生産性を高めようとする。そのため利潤率は低下していく傾向がある」「利潤率は利益率とは言える。日本は70年代利益率が10%前後であったが現在は数%となり低下している。マルクスの言った事は事実で裏付けられている」「現在の日本では、非正規労働者の低賃金が正規労働者の賃金を引き下げる力として作用している。また職場での厳しい労働条件を支えているのはこの、非正規労働者の存在にある。これを政治の力で規制し資本家に強制する事が必要ではないか」などの意見が出されました。
次回は、8月25日(金)午後2時より5時、会場は「アイセル21」第42集会室、内容は第3回の「『資本論』全3部を歴史的に読む」読み合わせと討論、持ち物は、『経済』8月号です。ぜひ皆さんご参加下さい。

『資本論』第1部、第4章「貨幣の資本への転化」、第3節「一般的定式の諸矛盾」を学ぶ


7月27日(木)第16回『資本論』学習会を9名の参加で開きました。第4章第3節「一般的定式の諸矛盾」を読み合わせし、ポイント説明の後討論に入りました。
「今日の一般的定式の諸矛盾は、流通過程では剰余価値の生産されない事が説明されているのか」「第1節で明らかにされた資本の一般的定式でGがG+ΔGとなるが、これには矛盾がある事がこの第2節で指摘されている」「最初の部分で『以前に展開されたいっさいの法則に矛盾する』とあるが、この法則とは何か」「商品交換、貨幣の交換も等価交換であり、価値の増殖は労働によって行われ、流通では生まれないなどの法則の事を言っているのでは」「ここがロドス島だ、ここで跳とは何の事を言っているのか」「この言葉はイソップ寓話からの引用だが、貨幣の資本への転化は『流通部面のなかで行われなければならず、しかも流通部面のなかで行われてはならない』という矛盾を解決しなければ行われない。これの解決をここで求められている事をこの言葉で表現したのでは」「非常にキッチリとした理論展開だが。資本とは何かを確りと理解するためにはこのような論理展開が必要だと思う」「解説書では、このような『定式矛盾』の指摘はない。やはり『資本論』を読むことが大切と思った」。などの疑問、意見、感想などが出されました。
次回は、8月10日(木)午後6時30分より、「アイセル21」第12集会室、内容は、第4章「貨幣の資本への転化」第3節「労働力の購買と販売」です。ぜひご参加下さい。

「戦後日本経済史」第3回開催


7月22日(土)「あざれあ」において、静岡県労働者学習協会主催で、戦後日本経済史第3回「社会保障から見る日本社会の格差と貧困、今後の課題」(講師:唐鎌直義氏)が行われ、25名が参加しました。静岡大学在学中のエピソードから始まり、イギリスの医療保障やフランス・ドイツの社会保障と比較して、日本の社会保障がいかに遅れているかということを、データを比較しながら説明されました。特に高齢者の貧困の重大性について指摘されました。問題は世代間の対立ではなく、累進課税こそが社会保障の解決策だという話は、とても説得力がありました。

現代経済学習会、「『ユーロ危機』とEU財政制度の改革」読み合わせ討議


7月18日(火)「現代経済学習会」を「アイセル21」にて開き『経済』7月号の「『ユーロ危機』とEU財政制度の改革」を読み合わせし討論を行いました。
討論では、「ギリシア危機の時にギリシア国民に緊縮財政を押しつけたがなぜそれを許したのか」「緊縮財政をギリシア国民に押しつけるのは誤った問題解決の方法だか、緊縮財政反対で政権を獲得した政府が、緊縮財政を受け入れたのは、政治的問題と共にEUの制度的問題があるのでは」「経済通貨同盟は、発足当初より、金融政策と財政政策の分離が制度的問題であると指摘されていた。と言うが何故ユーロに移行したのか」「通貨同盟は、域内の為替リスクをなくし、単一市場を形成する事で、経済成長を実現しその果実を分け合うというメリットのために実現させたのでは」「EUは、『社会的市場経済』という考え方を導入したと言うが、それはどの様な特徴があるのか」「『社会的市場経済』は、経済を市場だけにまかせるのではなく、政府の介入により、社会的公正と経済繁栄を実現していく事を目的とし、労働者の権利や社会的弱者を守るなどの社会政策を指しているのでは、新自由主義の考えとは全く違う政策ではないか」などの話し合いを行いました。
◇次回は、8月15日(火)午後6時30分より2時間、会場は「アイセル21」第12集会室、内容は、『経済』8月号に掲載されている「アベノミクス4年の虚と実、実感な景気拡大」を読み合わせし討論します。

「戦後日本経済史」第2回開催


7月8日(土)午後、静岡労政会館にて「戦後日本経済史」学習講演会が行われました。第2回目は藤田実氏の講演で「日本的労使関係で見る日本資本主義の展開と解決」でした。前半は、戦後日本の労使関係を「対抗的労働運動」と「協調的労働運動」の類型でとらえ、敗戦後から現在までの歴史を展開しました。後半は、日本資本主義の蓄積基盤の変容と労使関係・労働運動ということで、グローバル経済化の中で、日本的労使関係の変化と労働運動の停滞について述べられました。最後に、協調的労働組合運動の限界と、対抗的労働運動の構築の必要性について提起されました。2週間前に発行されたばかりの藤田実著『戦後日本の労使関係-戦後技術革新と労使関係の変化』に基づいて、戦後日本の特殊な労使関係を、極めてわかりやすく講義して頂きました。

当たり前ではない地域間格差、地域毎に特色を持つ生計費がある!


静岡市『学習の友』学習会

今回は7月号です。まず「地域間格差の解消がカギ」斎藤寛生全労連賃金・公契約対策局長の記事を読み合わせしました。「地方は家賃・物価が安く、お金がかからない」というのは、実態を科学的に分析すれば、そんなことはなく、全国どこも大きな差はないことが明らだと指摘します。全労連の「最低生計費試算調査」では、25歳単身者で時給1500円月額23万円、年収で270万円は必要となります。世帯としてはもっと大きくなります。しかし、現行の最賃制度は、都道府県ごとにA~Dにランク分けされ地方・地域に対する具体的な施策を持っていなく、格差と貧困から抜け出せない社会になっていると言います。限定正社員制度は、人事異動に地理的条件をつけることで、低賃金を押し付ける差別的雇用制度だと指摘します。公務員の賃金も「地域手当」と称し0~20%の加算がつきます。最賃制度を利用している職場で最も多いのは公務・公共サービスの民間委託・アウトソーシング部門です。それを抜本的に改善するために、公契約条例の制定が必要です。労働に見合った適正な賃金下限額を設定して実施することで、地域間格差をなくすことは、いまの賃金闘争に求められる重要な課題であるし、行政にとっても地域活性化をすすめる上で避けられない重要な政策課題であるといえます。都会の大学に行った若者が故郷に帰る社会をつくりましょう。