第21回『資本論』第二部学習会 第3篇・第20章「単純再生産」第9節と第10節を学習する


静岡市社会科学学習会は、5月26日(木)「アイセル21」にて『資本論』学習会を開き、第20章「単純再生産」第9節と第10節を学習しました。

 討論では「マルクスは、資本と収入という言い方をしているが、収入とは個人的に消費される貨幣と言う理解で良いのか」「疑問として単純再生産では資本家は剰余価値を全て個人的消費をするが、拡大再生産では資本として再投資する。この場合の剰余価値は収入なのか資本なのか」「拡大再生産では剰余価値は生産手段に向けられるので、この詳しい内容は次の拡大再生産の所で学ぶ事になるのではないか」「拡大再生産でも剰余価値は資本家の収入となるが、それを個人的消費をするのか再投資するのかは、資本家の判断と言う事になるのではないか」「労働者にとっては賃金収入は全て個的消費に使う。その賃金は貨幣は資本家の下では可変資本の貨幣形態なので、資本家の資本が労働者の手中では収入となるという見方は間違いだと言う。資本家から労働者に賃金として渡る貨幣は、同じ貨幣だが、この貨幣は資本家の手中では可変資本の属性をもち、労働者の手中では労働力商品の対価としての属性をもつ。資本家の資本は、貨幣形態から生産資本形態へ労働力の形態に変態し、この労働力は資本家下で労働し賃金の対価部分と剰余価値を生産し、価値増殖された商品資本となる」など話合いました。

◆次回は、6月9日(木)午後6時~8時。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第20章「単純再生産」第11節~第13節。持ち物は、『資本論』第2部(新版・新日本新書版の第7分冊)です。

第11回「多国籍企業と日本経済」学習会 「多国籍企業を規制する運動の新しい展開」と「あとがき」読み合わせ、意見交換をする


静岡市社会科学学習会は、5月17日(火)「多国籍企業と日本経済」学習会を「アイセル21」で開きました。読み合わせの後、意見交換を行いました。

 意見交換では「国連で法定拘束力のある条約作りが討議されていると言うが、これは日本国内においても拘束力をもつのか」「日本の企業などが国際法において規制されているという事を見たことがないので、どの様な形で企業活動を捉えてやっていくのか」「作ろうとしているのは条約なので、国として批准すればその内容に従った国内法を作らなければいけないが、批准しなければ拘束されない。日本はILO第一条約である8時間労働の条約を批准していないので、36協定によって8時間労働が崩されている」「82ページに『2度の失敗を踏まえて、拘束力のないガイドラインとして、先述の「グローバル・コンパクト」や「国連人権枠組み」「国連人権指導原則」がつぎつぎと採択されていった。』とある。最初は拘束力のあるものを作ろうとしたが失敗したので、拘束力ないものを作った。という経過があった事を初めて知った」「電気情報ユニオンが企業と団体交渉をする時にこの『グローバル・コンパクト』を示して、日立なども参加して人権侵害を行ってはいけないと言う事を約束しているのではないかと言って交渉を進めているので労組側にとっては力となっている」「国連が拘束力のある『ビジネスと人権に関する条約』づくりに取り組んでいる事を言ったが、討議の経過は、途上国とNOG団体が推進の立場で、多国籍企業の母国の先進資本主義国が反対の立場で対立しているという構図ある。この構図は『核兵器禁止条約』と同じと言える。第二次大戦後独立した国々が国連と国際社会において、平和や経済の問題で大きな役割を果たしている」「経済論理で活動している企業を法律で本当に規制出来るのかという疑問があるが、法律によって企業全体を拘束しなければいけない。例えば一部の企業だけが労働時間を短縮すれば、その企業は企業間の競争に敗れてしまう。経済論理で活動している企業だからこそ、法律によって全ての企業を規制してこそ労働時間の短縮が実現できる」などの意見が出ました。

2021-第20回『資本論』第2巻学習会 第20章「単純再生産」第4節から第8節を学習する


静岡市社会科学学習会は、5月12日(木)『資本論』2巻学習会を開きました。報告の後意見交換をしました。

 意見交換では「消費部門を必需品部門と奢侈品部門に分け、不況になると奢侈品の消費が抑えられる。そうするとそこで働く労働者が解雇され、また必需品部門の消費も少なくなる。そうすると経済恐慌が起きるという事を言っているのか」「消費部門を必需品と奢侈品に分ける事によって、必需品部門の生産量が少なくなっている。資本家も必需品を消費するのではないか」「マルクスは、労働者階級は必需品を消費し、資本家階級は必需品と奢侈品の両方を消費すると前提にしている。資本家は人数が少ないが必需品を消費する額としてはそれなりの大きさではないか」「最初の設定では必需品と奢侈品を分けずに消費部門とし見たが、よりリアルに資本家は利潤の一部を奢侈品を消費するとして必需品部門の数字は小さくなっている」「奢侈品部門の消費が縮小すると、それが労働者の解雇、解雇された労働者の必需品の消費がまた少なくなると言う。つまり再生産の仕組みの一部が不調になる。それが社会全体に波及すると言う。その事によって過剰生産恐慌が起きる場合もある。しかしこれはあくまでも価値のレベルの話で、直経済恐慌が起きると言う事ではない」「過少消費説への批判があるが、疑問に思う事は恐慌は生産と消費の矛盾、つまり個別の資本家は賃金を低く抑える。しかし社会全体としてはそのために消費が少ない。この矛盾は過少消費ではないのか」「恐慌が起きる時には必ずその前に過剰生産がある。日本のバブルやリーマンショックの時も熱狂的な経済過熱があった。資本家は競争し儲けを求めて過剰生産をする。この生産が過剰である事が、何かのきっかけで表面化する。生産と消費の矛盾がこの時に表面化する。これが過剰生産恐慌である」などの意見が出されました。

◆次回は、5月26日(木)午後6時~8時。会場は、「アイセル21」第42集会室。内容は、第20章「単純再生産」第9節から第10節。持ち物は、『資本論』第2部(新版・新日本新書版の第7分冊)。

若者の課題に労組も力の発揮を‼ -青年の仕事と暮らしの実態調査結果を分析


5月11日、静岡市内において「学習の友」学習会を開催しました。

今月号は、特集「青年をとりまく状況と労働運動・社会運動」です。その中で、「若者の生活・労働実態にみる課題・要求―労働総研若者調査を素材に」(静岡県立短大准教授 中澤秀一)を読合わせしました。全労連を中心にした単産・地方組織から回答を得たもの。有効回答1515件20~30歳代が90%です。「仕事の充実感」「仕事上の問題」「仕事上の相談相手」「働き方」「労組加入の動機」「労組の有無」「労組の情報媒体」「生活の満足度」「政治・社会に対する考え方」などの設問の回答をまとめ分析しています。読合せの後の討論では、次のような意見がありました。「政治社会に対する考え方は、否定的なところはあるが、『みんなが力を合わせたら組織や社会を変えることができる』の回答は、たしかに低い年代ほど低いのだが、それでも70%弱で肯定的だった。決して低くない、割と健全・まともと思った。」「『民間の活動に期待をよせている』と指摘をしている。」「青年が政治が自分と遠いものと思うのは、政治家が政府と変わらない者という思いがあるのではないか。」「生活の満足度でも6割が『満足』でも、賃金が低いは6割と多い。」「街中では商品が溢れかえっているので理屈抜きに『豊かな社会だなぁ」と思うわけよ。だけど、高いから買えない。考えにアンバランスがある。」「要求が低いと満足度が上がるという。今の青年は昔に比べると要求が低くなっている。みんなそうだから要求にならない。」「政府の教育方針で、『科学技術発展が社会は良くなっていく。』という考え方が圧倒的だ。政治を良くするのではない。」「それで、理系を希望する若者が多いのか。」「テレビドラマで、AIが政治を動かしていくというのが予告でやっていた。そういう状況をどう評価するのか予告なので不明だが」「結婚相手もAIで見つけてもらうのが一番良いということもある。」「『組合にかんする情報情報の入手ルール』で一番は、機関紙やニュースレターで評価が『従来からある情報伝達手段が力を発揮している』としているが、これはそういうものしか発信されていないということで、組合の情報発信能力が遅れているということだ。」「青年も組合の情報なんかSNSでは見ないということでもあるのか。」

「日本近現代史を読む」第20回学習会 第18章「戦局の転換」絶対国防圏の崩壊と東条内閣の退陣、戦争経済の崩壊、絶望的抗戦期における戦場と兵士、などを学習する。


静岡市社会科学学習会は、5月10日(火)「アイセル21」で「日本近現代史を読む」第20回学習会を開き、第18章「戦局の転換」の読み合わせ、意見交換を行いました。

 意見交換では「テキスト158ページに『9月にはイタリアが連合国に無条件降伏をします。イタリアを占領したドイツ軍との戦闘は続いた』と書かれているが、イタリアをドイツが占領する事情はどの様な事だったのか」「連合国のシチリア島上陸作戦の成功の結果、43年7月24日、ムッソリーニは逮捕・幽閉され、新しく政権を組織したのはバドリオは、その後連合国と休戦したが、この動きを察知したドイツは、直ぐに部隊を展開させイタリア軍を武装解除しイタリア半島を占領した」「テキスト160ページにB29が大量に作られている写真が載せられている。解説には巨額の予算が投入されたとの解説もある。日本とアメリカの国力の差が大きいことは戦争を始める前から分かっていた。しかも日本は世界を相手に戦争をした。何処に展望を持っていたのか」「資料の中にあるように、アメリカとの戦争を始めた時は、約2年は戦争を出来る石油などを持っていたと書かれている。そのため真珠湾を奇襲し早期にアメリカの戦力を崩壊させるという見通しとか、インドネシアやフィリピンを占領し戦争資源を獲得すれば戦争を継続する事ができるという甘い見通しがあったと言われている」「テキスト164ページに『餓死した英霊たち』が紹介されているが、どの様な内容か」「戦争は一般的には勇ましいものと言われているが、戦争の恐ろしさ悲惨さを教えている。日本軍は補給などを考えないで作戦を立案した事によって、多くの日本兵は食糧がなく戦闘でなく餓死した」などの意見が出されました。

◆次回は、日時は、6月14日(火)午後1時30分~3時30分。会場は、 「アイセル21」第42集会室。内容は、 第19章「敗戦」。持ち物は、「増補改訂版 日本近現代史を読む」。