憲法の目指す職場・社会を実現する組合活動そして春闘 『学習の友』学習会


今回は5人が参加しました。最初に、多賀喜一氏の「憲法に学ぶ、働くこと、労働

組合、そして春闘」を読み合せ討論しました。憲法27条に「すべて国民は、勤労

の権利を有し、義務を負う」と書かれています。労働することは「権利」であるとして、

生きていくために働き続けることができる、労働条件の保障が必要で、労働基準法

が、その最低基準を規定しています。更に憲法28条は、集団としての労働者の権

利として、労働三権を保障しています。最低の基準は法律で定めますが、基準法

は実際の労働条件を労使が対等な立場で決定する、職場の自治を求め、より良い

労働条件への発展を期待します。春闘は職場における労働条件を確認し、より働

きやすいルールに改めていく取り組みです。憲法には「これを実現したいね」という

内容がいっぱい詰まっています。また憲法は、それを実現するために、私たちに不

断の努力を求めています。(12条)春闘がそれです。春闘に向けて憲法・労働法を

学び生かしましょう、と結んでいます。

次に種本良彦静岡県評労働相談センター所長の「職場で権利は守られている

か」をやりました。「ブラック企業」が社会的問題になっている中で、労働基準法を

学び、職場チェックが大切です。労働時間、休憩、休日労働、年次有給休暇、パ

ワハラ、解雇といった問題の規則を学びました。

次回学習会は次のとおりです。1月号を持って

どなたでもお気軽にご参加ください。

日時 1月7日(火) 午後7時から

場所  静岡県評会議室

静岡県労働者学習協会のブログができました

民医労静岡支部「勤通大基礎コース」学習会


12月6日(金)午後6時40分より学習会を行いました。受講生5人が参加しました。最初にチューターの多田が、レジュメに基づき報告し、その後自由討論を行いました。今回から「資本主義経済のしくみ」に入り、テーマは「商品と貨幣」と「資本主義社会と労働者・賃金」です。

経済学=資本主義社会の生産関係(生産・分配・交換・消費)のしくみを明らかにする

商品と貨幣(資本主義社会の富の単位は商品である)

1.資本主義社会の3つの特徴

①ほとんどの労働生産物が商品として生産され売買されている

(家庭菜園で家族が食べる野菜は商品ではない)

②人間の労働力までが商品として売買されている(労働は商品ではない:ILO)

③資本家は金もうけを目的・動機として商品生産を行っている(企業の社会的責任)

 2.商品とは何か

〇商品の使用価値=人間にとっての必要・欲望を満たす性質をもったもの(食物、衣服、本)

〇商品の交換価値=商品どうしが一定の比率で交換される性質(物々交換、価格)

〇商品の価値=交換価値の本質=商品に含まれる人間労働によって作り出される

(富の源泉は?=金、商業、農業、労働)

 3.商品生産労働の二重性

〇具体的有用労働=使用価値を作る具体的な労働(裁縫、木工、印刷)

〇抽象的人間労働=人間の精神的・肉体的エネルギーの発揮(価値の実体)

4.商品の価値の大きさ

〇商品を作るために社会のなかで平均的に必要な労働時間(商品交換を通じて決まる)

価値の大きさを貨幣で表現したものが価格(貨幣も商品のひとつ)

5.貨幣とは何か

○商品の価値をあらわす形態と等価物

1本のネクタイ=10冊のノート(人間の関係を物の関係で表す:反省関係)

(1本のネクタイの価値が、10冊のノートによって表される)ノートは等価物

〇一般的等価物

一般的等価物=他のすべての商品の価値を表す商品(歴史、地域により異なる)

(毛皮、布地、羊、貝殻、米、塩、金、銀、銅)

○貨幣と価格

貨幣=一般的等価物の役割をひとり占めすることになった商品(最終的に金)

価格=商品の価値を貨幣の一定量で表したもの

(1本のネクタイは金2グラム→金1グラムは1000円→1本のネクタイは2000円)

(ポンド、マルク、両は重さの単位が、貨幣の単位になった)

○鋳貨・紙幣

金鋳貨(銅貨、銀貨)→紙幣(法律によって強制的に通用力をもたせる)

6.価値法則とその作用

○価値法則=商品の価値の大きさは、その商品を生産するのに社会的に必要な労働時間の

大きさによって決まる。商品の実際の価格は、価値を中心にして、需要と供給

の関係によって変動する

○価値法則は、それぞれの生産部門への生産手段と労働力の配分を、自然発生的に調節する

(産業構造の変化、リストラ、失業、職業訓練)

○価値法則は、競争と生産力の発展を促進する

(生産性向上でより少ない労働時間で生産することで、より多くのもうけを獲得する)

○価値法則は、社会の階層分化を速め、経済的不平等を拡大する(富と貧困の蓄積)

資本主義社会と労働者・賃金

1.労働者とは

〇労働者=生産手段をもっていないために、労働力を商品として売り、賃金を受け取って

生活している人々(賃金労働者)

〇二重の意味で自由な存在

① 身分的に他人に隷属していない。人格的に自由(会社の奴隷ではない)

② 生産手段を所有していない。生産手段の所有から切り離された自由(失業の自由)

2.賃金とは何か

〇賃金は、労働の価格であるかのように見えるけれど、実は労働力の価格である。

労働力を時間ぎめで売る。(自由時間が労働者の人間的発達を保障する)

〇労働力と労働のちがい

労働力=人間の身体に備わっている、働く能力のこと(生産手段と結びついて労働できる)

労働=労働力の使用、消費のこと(「同一労働同一賃金」は差別賃金の是正が目的)

3.賃金は労働力の価格

〇労働力の価値の大きさは、労働力をつくるために社会的に平均的な労働時間の大きさに

よって決まる。(人間の生の再生産)

労働力をつくるために社会的に必要な労働時間は、労働力を再生産するために必要な生活

手段を再生産するための労働時間の大きさによって決まる。(間接的に決まる)

〇労働力の価値の大きさを決める3要素(労働者と家族の生計費)

① 労働者本人の生活手段の価値、②家族の生活手段の価値、③労働力の養成手段の価値

〇労働力の価値は、他の商品と違って、歴史的・社会的・文化的に変化する。

(今日では、雇い主から支払われる賃金と社会保障との合計が労働力の再生産費となる)