「対話的行動」の組織が被抑圧者の攻撃を跳ね返す力に


4月12日、静岡市内において「学習の友」学習会が開催されました。

 今回は4月号の特集記事、「現代の階級闘争とオルガナイザーの役割」(大屋定晴北海学園大学教員)を読合せ討論しました。著者は、「階級闘争」の意味を確認したうえで「オルガナイザーの今日的役割を考えてみたい」と云います。 結論としては資本主義社会の階級は、資本家階級と賃金労働者階級となります。生産手段の所有をめぐる違いを基本としますが、お金を介するかたちのところが資本主義的な特徴となります。階級闘争は、端的には賃金労働者の労働運動として現れます。そしてそれは、様々な社会闘争と結びいて展開される必要があるとします。しかし、生産手段をもつ側が、政府やマスメディアなどを動かし、暴力的弾圧、思想的な圧力を仕掛け、押させ込もうとします。この点でブラジル教育・哲学者のパウロ・フレイレの主著「被抑圧者の教育学」の内容を紹介します。「抑圧者は被抑圧者に入り込み、被抑圧者に宿っている」と著書の中で指摘します。抑圧者は、抑圧者の「反対話的な文化行動」を植え付けると云います。そこで、フレイレは、これとは真逆の「対話的行動」が必須になると主張します。そして「指導者」の存在を強調します。指導者は、対話的行動の立案、企画、進行を行う人です。指導者は事前準備と訓練をうけたうえで、被抑圧者の対話行動を促し、彼らに労働・生活状況に目を向けさせ、矛盾を気づかせる、助産師役になるとします。これがオルガナイザーです。そして大屋氏は、彼らに求められる3つの役割を明らかにします。①抑制状況を生みだす社会構造の分析・教育。②自らの政治性の堅持。③自身のたえざる自己反省。 討論では、次のような意見がありました。「『パウロ・フレイレ』は、ユネスコの『学習権宣言』を起草した人だ。」「オルガナイザーの役割の『②自らの政治性の堅持』とは、どういうことだ。」「階級性、思想性と同じではないか。」「その人の政治的立場ということか。」「変えていくという立場、いわゆるポリシーを持ってやるということでは。」「社会状況が組織の中にも影響を及ぼすよと云うこと、だがそれを分かって自らを改心することが大事。そうでないと(抑圧者と)同じ事をやると云うことでは。」「第一の役割に、『社会構造の分析・教育』とあるが、なかなか厳しいね。」「今度自治体の青年が、レイバーノーツの大会に行く。この組織の基本的考えがフレイレの思想だ。」「大会というのは、対話のしかたの訓練の場だ。」「それは凄いね。」など、活発な意見交換となりました。