新自由主義にかわる社会ビジョンの提示-幅広い運動の合流・共同をすすめて


あけましておめでとうございます。1月6日に静岡市内において「学習の友」学習会を開催しました。

今回は1月号の特集記事の中から、「脱新自由主義へと向かう社会運動の胎動」(二宮元琉球大学教員)を読合せし討論しました。まず新自由主義政治は「社会の格差化と民主主義の衰退」という2つの矛盾をもたらしたが、これに対抗する世界の運動について「3つ局面を経て展開されてき」たと云います。最初に、1990年半ばからの「グローバル・ジャスティス運動やオルタ・グローバリゼーション運動」と呼ばれる運動。主として国際的な課題に取り組んだ運動でしたが、南米諸国を除くと各国の国内政治には限定的影響力しかない。つぎに、2010年代以降反緊縮左翼の運動で「広場の運動」として各国で連鎖的に拡大する。これは新自由主義政治に正面から抗議の声をあげた運動だった。広場の運動は、その後左翼政治勢力と結びつくことで、路上の運動から政治変革をめざす運動へと展開する。ギリシャのシリザ(急進左派連合)政権の誕生。イギリス労働党の最左派コービン党首選出。スペインのポデモス(反緊縮政党)躍進。アメリカの民主党サンダース善戦。2010年代の反緊縮左翼の運動は、非常に多様な運動の担い手が合流した点でも注目されると指摘します。そして今、「ニュー・ミュニシバリズム(新しい自治体主義)」と呼ばれる新しい潮流が登場し、地域での政策的実践が進められている。ヨーロッパ諸国では、福祉国家型の政治の経験が反緊縮左翼の運動を支える歴史的な基盤になっているが、日本ではその蓄積が弱く、新自由主義にかわる社会の姿を現実味のある構想として提示する独特の困難が伴うと指摘します。今後幅広い運動の合流と共同の力で、新自由主義に対抗することが反緊縮左翼に求められていると結んでいます。討論では、「新自由主義によって、政治的選択を行うことが極めて難しくなるとしているが、どういうことか。」「アメリカでいえば共和党と民主党で、変わる余地がないとかか。ただ、民主党も新自由主義と言い切れるか疑問だが。」「アメリカ・イギリス・日本は新自由主義的傾向だが、フランス・ドイツとかは新自由主義的政策に走ったのではないと思っているが、福祉国家政策は続いている。」「現象、現象で書かれているが、何故そうなったのかがない。最後に反緊縮左翼が幅広い運動と合流して、新自由主義の方向を打開すると言っていると思うが、それは普通のことだと思う。」「市民連合の政策に『新自由主義に反対する』というのはあったか。」「ないのでは。」「最近は南米では左翼がまた勝っているね。新自由主義に反対する選択をしているといえる。」「日本でも選択肢を明確にした政治勢力が必要だ。」「野党共闘の再構築が必要だ。」などの意見がありました。

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