民営化・民間委託=コスト削減、この「常識」は正しいのか?


静岡市『学習の友』学習会

4月4日に、4月号を使って読み合わせ学習会を行いました。P66の「公共サービスの労働条件とコスト」(高木光氏 労働ジャーナリスト)は、これまで公共サービスの民営化・民間委託化が進められてきたが、コスト面で必ずしも行政の支出削減になるとは限らないと指摘し、幾つかの事例を紹介しています。長野県の安曇野赤十字病院では、業務委託に伴いパート労働者を委託先へ移るか、雇止めの提案が病院側からされましたが、組合との交渉を重ねる中で、委託化で毎年300万の支出増が生じると病院側が認め、委託化の理由が分からず当面見送りとなりました。

韓国・ソウル市では、ここ数年、市の業務に就いている非正規労働者8800人の正規化を進めています。内約6000人が派遣や請負の形の労働者でした。正規化することで「費用が節減できた」と言います。これは、派遣業者等の取り分として、付加価値10%、一般管理費15%が余計にかかる。直接雇用で25%削減し賃金に回すことが可能になるそうです。なお、内1500人はパートなどの直接雇用を正規化したので、コスト増となったようです。「民営化・民間委託でコスト削減」という「常識」が覆されています。入札などの行き過ぎた低価格競争も行政の質の低下につながり、長続きしないでしょう。今、民営化・民間委託の「常識」を根本から問い直す時期です。

コメントは受け付けていません。