日本の労働組合はどうあるべきか?著書「労働組合とは何か」をめぐって


12月8日、静岡市内で「学習の友」学習会を開催しました。

今回は、「木下武男著『労働組合とは何か』をめぐって」(兵頭敦史専修大教授・労教協理事)を最初に詠み合わせしました。著者木下氏は、日本では労組の力が極端に弱い。これは「本当の労働組合」ではないからだと主張します。「本当の労働組合」は、「欧米」にある、「相互扶助」「法律制定」「集合取引(=企業横断的な団体交渉)」という3つの方法をつうじ、労働者間競争を抑制し、労働条件を向上する組織とします。また、職業別・一般・産業別労組であるとも云います。そして、貧困の中で新しい下層労働者が「はい上がる武器」として労組があり、ユニオニズム創造の主役となって社会を変えるであろうと云い、そのために「本当の労働組合」にしなければならないと論じます。兵頭氏は、本稿冒頭の問題意識には共感をするが、「共感できるの点はこの部分に限られる。」とし、以下疑問点をあげていきます。「横断的な労使関係」の実現には、使用者側にそれを応諾させる、各職場・企業レベルでの闘争が決定的に重要だが、本書はそれを著しく軽視します。また、主要な論点を導き出すうえでの事実認識などについての誤りがあまりにも多いとも指摘します。兵頭氏は最後に「著者は、労働運動史の専門研究者であるという最低限の矜持をもち、「このような本は出」すべきではなかったと思われる。と結んでいます。 討論では、次のような意見がありました。 「兵頭氏は、『現に横断的な交渉システムのない(使用者が応じていない)日本の現実をふまえれば、労働条件の社会的規制という目標に達するためには、職場・企業レベルにおける交渉や闘争。その基礎としての日常的な職場活動は決定的な重要性もつ。』と云う。正論ではあるが、現在の日本の職場の状況で果たして、まともな職場活動が維持できるのか疑問に思う点もある。」「兵頭氏の唯一共感した点として『多くの人は、生活が苦しいのは政治のせいであり、政治さえ変えればよくなると思っている』『しかし、労働者の働き方をかえられるのは・・・労働組合である』という記述に凝縮された問題意識であると云う。一理あるとは思うが、政治を変えることによって変えられることもある。ケア労働や公務員賃金などは特にそうだ。組合だけ、労使の力関係だけでなく、政治を変えることが、大きな転換点になると思う。その点で「唯一の共感」をほんとかなぁと疑問に思った。」「岸田は、ケア労働者・看護師の賃金を改善すると言って、財界は最も介護報酬減らせと言って、結局財界の言いなりとなるか。」「その賃上げも微々たるものだが、上がった分を利用者負担でまかなう、削減と賃上げが相殺される。看護師もコロナに関わる人は上げるが、その他の人はあげない。格差・分断を持ち込んでいる。これは、連合の取り込みのためのリップサービスではないか思う。」

コメントは受け付けていません。