民医労静岡支部「勤通大基礎コース」学習会


1月21日(火)午後5時45分より学習会を行いました。受講生5人が参加しました。最初にチューターの多田が、レジュメに基づき報告し、その後自由討論を行いました。今回のテーマは「利潤の源泉――剰余価値の搾取」と「資本蓄積と貧困化、不況、恐慌」です。

●利潤の源泉――剰余価値の搾取

1.もうけのための生産

06資本主義経済のしみ

 

2.搾取のしくみ―剰余価値の生産

○もうけは生産過程で生まれる(   )

○生産力の発展の結果と剰余価値(=もうけの源泉)

3.必要労働時間と剰余労働時間―剰余価値率

○必要労働時間=労働者が自分の労働力の価値に等しい価値を生み出す労働時間(ex2時間)

○剰余労働時間=必要労働時間を超えて働く時間(ex6時間)

○剰余価値率=剰余労働時間(6時間)/必要労働時間(2時間)x100=300%

○資本=資本家と労働者の生産関係(=搾取関係)のもとで剰余価値を生みだす価値(貨幣)

4.搾取強化の諸方法

○労働時間の延長=剰余労働時間を延長する(労働時間短縮の要求)

○労働生産性の向上=同じ労働時間内で労働強度の変化なしに、より多く生産物をつくる

○労働密度の増大=機械のスピードアップや作業範囲の拡大

○賃金の労働力の価値以下への切下げ=賃金は労働力の需給関係と労資の力関係で決まる

 

5.労資の利害は根本的に対立している

○賃金奴隷=労働者は雇われなければ(搾取されなければ)生きていけない

○中小企業での搾取と、大企業による中小企業からの収奪

=労働者は中小企業家の搾取とたたかうだけでなく、大企業の横暴ともたたかうことが必要

○欧米諸国の時短闘争と「働くルール」の確立

1847年:イギリスで成人女性労働者に10時間労働法が制定

1886年:アメリカのシカゴで8時間労働を求めてゼネスト(メーデーの起源)

1917年:ソ連で8時間労働制が確立

1919年:ILO設立、8時間労働制が成立

第二次大戦後:週休2日制、週35時間労働、1日7時間労働への運動

 

○日本の「ルールなき資本主義」

1947年:8時間労働となったが上限規制がない(36協定)

1987年:週40時間労働が提起(アメリカとの貿易摩擦)

1997年:全企業に週40時間労働が適用(労働時間制度の変更:変形、裁量、みなし)

○経済闘争の意義と限界、搾取制度の廃止へ

搾取の結果にたいする闘争と、搾取制度そのものをなくす変革

 

補論 非生産労働者も搾取されている

商業、金融、サービス業、公務(非現業)労働は、価値も剰余価値も生まない非生産的労働

1. 商業労働者も搾取されている

商業資本家は、産業資本家から商品を仕入れ、それを販売することによって、生産労働者がつくりだした剰余価値の一部(その剰余価値から商業労働者の賃金と経費を引いた残り)を商業利潤として手に入れる

 

2. 金融労働者も搾取されている

金融部門の資本家は、産業資本家などに貨幣を貸し付けて手に入れる利子は、もともと生産労働者がつくりだした剰余価値の一部。金融労働者の賃金と経費を差し引いた残りを利潤として手に入れる

 

3. サービス部門の労働者も搾取されている

医療、福祉、保育、教育、娯楽、観光、宿泊などの部門。すべての部門の労働者の賃金や利潤が分配された後、サービス部門の資本家はサービスを提供することで、国民所得の再分配過程をつうじて、サービス利潤を手に入れる。サービス労働者の賃金と経費を差し引いた残りを利潤として手に入れる

 

4. 公務員労働者も「搾取」されている

公務員労働者の賃金は、国民から徴収した税金から支払われる。その水準は労働力の価

値であり、賃金分以上の労働を間接的に「搾取」されている。

 

* 協同組合の労働者も搾取されている

① 企業間競争のなかで経営を維持、発展させていくために、労働の成果の一部を「蓄積」していかなければならない。

② 全出資者=全労働者ではなく、労働者は協同組合に雇われて働いている

③ 資金を借り入れした利息分は、労働者の剰余労働の一部をあてる

協同組合で働く労働者の実践

① 賃金や労働条件の改善を要求し、理事者側が非民主的運営をおこない労働者に不当なしわよせをおこなってくる場合には断固としてたたかう

② 全国的に賃金、労働時間、労働条件の改善をめざす制度闘争を行う

③ 協同組合の健全な発展をめざし、理事者側に協同組合の理念と原則にもとづく民主的運営を要求し、労働組合の立場から参加し協力していく

 

 

●資本蓄積と貧困化、不況、恐慌

1.資本の蓄積と資本構成の高度化

○資本主義的再生産

資本蓄積=拡大再生産によって資本規模を大きくしていくこと。

○資本の集積と資本の集中

資本の集積=個々の資本による資本の蓄積、

資本の集中=いくつかの資本が合同して資本規模がおおきくなること

○資本構成の高度化=不変資本(生産手段に投下される資本)の割合が可変資本(労働力に

投下される資本)の割合に対して、相対的に大きくなること

 

2.相対的過剰人口の形成

○相対的過剰人口(=失業者・半失業者)は、働くことのできる労働者の総数に比べて、資本が雇い入れようとする労働者の数が相対的に少なくなる結果、生まれる。

 

3.資本主義社会における相対的過剰人口

○資本主義的蓄積の一般的法則と貧困化

一方の極における富の蓄積と他方の極における貧困の蓄積は、必然的な過程として進行

○貧困化とは何か

絶対的貧困=食うや食わずの貧乏

相対的貧困=①資本家と労働者の格差の拡大、

②労働者の生活水準は、新たな生活欲求の社会的水準を満たさない

③労働条件の悪化は、生活と安全を脅かす社会問題になる

 

4.不況・恐慌の原因と諸結果

○過剰生産による不況・恐慌

必要なのだけれどお金がなくて買えない、そのためにものが売れなくて過剰になる

○景気循環、不況・恐慌の原因

①生産と消費の矛盾

②生産部門間の不均衡

○不況・恐慌とその結果

労働者や勤労国民に失業・賃下げをふくむ労働条件の悪化、中小企業の経営破たん、

大企業はチャンスととらえ、リストラ、吸収合併などで独占体制を強化する

(投機的資本、大企業の内部留保、法人税減税)

労働運動や政治運動の高まり