2月7日(土)、藤枝市文化センターにおいて、藤枝地区労センターと静岡県労働者学習協会の共催で、藤枝平和学習会「若者たちとつくる平和への思い」が開催され、34名が参加しました。橋本純氏が学生と一緒に行っている、平和を考える藤枝の市民団体「エバーグリーン」の活動について紹介をしました。報告では橋本氏と一緒に活動している学生たちも参加し、東北大震災の被災地への訪問と現地の人との交流や、ビキニ事件での当時の体験者からの聞き取りなどを、写真を紹介しながら話してもらいました。以下に報告内容を紹介します。
1、平和とは
「消極的平和」…戦争などの「直接的暴力」がないだけの状態
「積極的平和」…貧困、抑圧、差別などの「構造的暴力」がない状態
「文化的平和」…戦争・紛争・貧困・抑圧・差別などの容認・正当化、無関心な姿勢などの「文化的暴力」が克服された状態
2、戦争とは
①第一次世界大戦の原因は?
②日露戦争時、平民社新聞「諸君と我等とは戦うべき理由なし」の風刺画の意味は?
③ミルグラム実験(アイヒマン実験)で、多くの人が電圧をあげてしまうのはなぜ?
3、「文化的暴力」の克服なしに「積極的平和」も「消極的平和」も実現はむずかしい
「ひとまかせ」が「ファシズム」「無責任」をうむ
4、「平和をつくる」ために
①楽しむ
②「敵」にしない
③いっしょに創る
5、エバーグリーン藤枝の活動
「なんのために学校で学んでいるのか」
「行ってみて、自分で聞いて、自分でやってみて、伝えようとする」
「活動しながら学ぶ」
6、空耳子ども会
「子どもたちにゆたかな時間と空間を」
「若者に手ごたえのある活動を」
7、活動することの意味、遊びと学びと仕事
①楽しく遊ばないとしっかり学べない
②「学び」の目的は「福祉」
③「遊び」と「学び」と「仕事」は同一の価値基準がある
④余暇の反対は仕事ではなく、怠惰である
⑤「豊かさ」とは自分でやれることをふやすこと
8、「楽しむ」ために
①知りたいこと、やりたいことが先
②知ったから動くわけではない
③「責任を負う」ことは「楽しい」
④自分らしく生きたい
⑤学ぶ機会に恵まれた者の責任
⑥自分がつくるのが社会に対する責任
⑦世界や社会は変わらなくても、自分のまわりに実現できる。
2014年6月29日、静岡県労働者学習協会第42回総会が静岡県評会議室開催されました。総会終了後「総会記念講演」として、労働者教育協会会長で現代史家の山田敬男さんが「労働運動の今日的課題と学習教育運動」と題して講演をおこないました。(写真は、講演をおこなう山田敬男さん)
「労働運動の今日的課題と学習教育運動」 山田敬男
(1)社会構造の変化の中で、運動の困難性をとらえる
①職場の団結力、闘争力の後退
職場、地域の集団的関係の破壊により、民主的関係の喪失や思いやり・暖かさがなくなってきています。また活動家集団の衰退により、世代継承が困難になっています。
②90年代半ば以降の職場社会の激変
新自由主義的構造「改革」によって社会の構造が大きくかえられてきました。「新時代の『日本的経営』」(1995年)による雇用戦略の変化で、非正規雇用の増大と成果主義の導入により、格差・貧困が常態化しています。
③人間らしく生きるのが難しくなっている
青年の二人に一人が非正規労働者で将来の夢を語ることができないで、「卒業→就職→社会的自立の一歩」というライフサイクルが崩壊しています。
正規労働者も成果主義の導入で、長時間過密労働のなかで生活と権利を脅かされており、メンタルヘルス問題と30歳代の自殺の増大、「自己実現系ワーカホリック」が広がっています。
長期化され、構造化された不安意識の中で、自己肯定感情が奪われるとともに仲間への関心が薄くなっています。
(2)まともな労働組合をめざして
①労働運動の団結の原則を考える
企業別労働組合の「改革」として、要求にもとづく職場闘争、地域における三つの活動、産業別統一闘争と国民的闘いとの結合があります。
まともな労働組合とは、生きづらさに耳を傾け、人間としてどう生きるかという視点から、すべての労働者を視野に、「納得」と「共感」にもとづく運動をすすめることです。
②職場における「まともな人間関係」の回復と組合民主主義
「まともな人間関係」として、自由に何でも言える関係を意識的につくること、「みんなで討論、みんなで決定、みんなで実践」が大切です。
③「まともな人間関係」に支えられた「魅力的な活動家集団」を
魅力的な「活動家集団」の育成をめぐって、仲間の気持ちを深く理解することこそ役員としての活動上の原点です。
④活動上のいくつかの問題
・自分たちの仕事、労働の社会的意味のとらえ直し
・地域と産別に支えられる職場の活動
・多忙化との闘い
・青年たちとの団結
(3)学習教育運動の課題
①何をめざし何をやろうとしているのか
学習教育運動の目的は、労働者階級の階級的自覚の形成と発展のために、科学的社会主義の立場から基礎理論や情勢論を教育・普及することにあります。この目的のために、労働者教育協会と都道府県学習組織は、対等平等の立場から協力共同の努力を行っています。大衆的学習教育運動は、60年安保闘争以来、大衆的な運動として発展し、地域労働学校、『学習の友』、勤通大の三つが基本的な学習形態とされています。
科学的社会主義の立場に立つという意味は、運動における学習教育のなかみを規定しているのであり、運動参加者の党派的立場や世界観的な立場を直接規定しているのではありません。階級的自覚の形成には、民主主義的自覚と権利意識の成熟が重要です。
②学習教育運動の基本的あり方
協会や学習組織は他のどの政党や労働組合などの代行や補完的役割をするものでも
なく、科学的社会主義の立場に立つ大衆的な学習教育団体です。この運動をすすめるためにも、学習教育運動の活動家の育成や、学習教育の内容の改善の努力などがきわめて重要な課題です。
③2010年代の学習教育運動の基本的課題
第一は、学習教育の内容で、科学的社会主義の基礎的理論に関しても、情勢論に関しても、水準を質的に引き上げることが重要になっています。
第二には、学習教育の活動家を育成することがきわめて重要になっています。とくに青年たちにとって、魅力を感じる学習教育運動とは何かを検討することが大切です。
第三に、労働組合のローカルセンターとの協力共同がが求められています。同時に、労働者階級の「最大勢力」である未組織労働者にたいする働きかけが、大衆的学習教育運動にとってきわめて重要な課題になっています。
沼津学習会(沼津労組連・静岡県労働者学習協会 共催)でブラック企業と安倍『雇用改革』を開きました。講師は、岩橋祐治 氏(全労連政策総合局長・元京都総評議長)がおこないました。
ブラック企業問題
ブラック企業とは、若者を違法・過酷な労働条件で働かせ、人格が崩壊するまでこき使い、モノのように使い捨て、使いつぶす企業のことです。昨年の参議院選挙を通じて大きな話題になりました。
厚生労働省は昨年、「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への重点監督」を実施し、82%の企業が労基法違反、時間外労働が80時間超過の企業が24%でした。
ブラック企業が跋扈(ばっこ)する理由は次の通りです。
①労働組合の組織率が73年に33、1%だったのが、昨年は17、7%まで低下しています。
②非正規労働者が2千万人を超え、全体の4割を占め、年収200万円以下のワーキングプアが1千万人を超えるという状況です。
③新卒者の深刻な就職難があります。
④労働法制の「規制緩和」・改悪が進んでいます。
ブラック企業を根絶する取り組みとして、以下の点があげられます。
①「企業はコンプライアンス(法令遵守義務)を守れ!」「その社会的責任(CSR)を果たせ!」という声をあげる。
②長時間・過密労働を是正させ、サービス残業を一掃させる。
③パワハラなどの違法行為、労働者の人格権侵害を止めさせる。
④離職者が異常に多い企業、過労死・過労自殺をさせた企業、36協定違反やサービス残業を強要した企業の名前を公表し、社会的な制裁を与えていく。
⑤労働基準監督官を増やす。
⑥学校で、憲法、労働基準法、労働組合法などの教育を強める。
⑦労働組合に入り、労働組合を作り、たたかうこと。
安倍『雇用改革』
安倍内閣の「日本を世界で一番企業が活動しやすい国にする」とは、「日本を世界で一番労働者が働きづらい国にする」ということ、「日本を世界で一番国民が生きづらい国にする」ということです。
①派遣労働の全面解禁
戦後直後に制定された職業安定法は、「労働者供給事業」を(労働組合が行う場合を除いて)全面的に禁止しました。
戦後労働法が禁止してきた間接労働を一定の条件のもとで解禁したのが労働者派遣法です。その一定の条件とは①常用雇用の代替防止、②高度で専門的な業務に限定、③臨時的・一時的な業務に限定です。今回、その規制原則そのものを完全に骨抜きにし、派遣労働の恒常化・永続化を狙っています。
今でも世界的に見て異常な日本の派遣制度が、世界で一番醜悪でグロテスクな制度になってしまいます。外国では、間接雇用を文字通り、「一時的・臨時的な仕事」に限定されています。派遣法が全面改悪されると、ほとんどの正社員の派遣社員への置き換えが爆発的に進む可能性もあります。
②限定正社員制度の整備
職種や地域、労働時間等を限定した「限定性社員」(ジョブ型正社員)の雇用ルールの整備とは、賃金・労働条件がこれまでの「(無限定)正社員」と比べて劣悪な、その地域にある事業所がなくなれば、またその職種・仕事がなくなればいつでも解雇できる不安定な雇用の、「無期雇用」だけれど「解雇自由」な「正規」労働者(=「名ばかり正社員」)をつくりだすことです。
就業規則の解雇事由に「就業の場所及び従事すべき業務が消失したこと」を追加すれば、たとえ整理解雇四要件が適用されても、無限定正社員とは異なる判例が多く見られると主張しています。
しかし、当たり前のことですが、正社員は本来限定性社員であり、労働力を時間決めで売っているのであり、決して無限定に販売しているのではありません。
今必要なのは、「正社員改革」ではなく、派遣、有期などの「非正規雇用」の制限と「同一労働・同一賃金」、「均等待遇」原則の確立です。
③労働時間法制の見直し
今でも、長時間労働で、サービス残業が横行し、メンタルヘルス問題が深刻で、過労死・過労自殺も頻発しています。12年の「就業構造基本調査」によれば、日本の男性の15、4%、390万人もの労働者が過労死ラインを超える週60時間以上の労働をしています。これ以上の労働時間法制の規制緩和・改悪は絶対に許されません。
④民間職業紹介所の規制緩和
行き過ぎた雇用維持型から労働移動型への政策転換で、「失業なき労働移動の実現」と言っていますが、だまされてはいけません。OECDがまとめた解雇規制の強さ指標によれば「日本はOECD加盟34か国中25番目」であり、決して雇用維持型ではありません。
ハローワークの求人・求職情報の開放、民間人材ビジネスの活用、有料職業紹介事業を許可制から届出制へ、求職者からの手数料徴収の拡大が予定されています。憲法第27条の「勤労の権利」を、すべての労働者に保障するのは国の責務です。職業紹介は国の責任で無料で行うのが原則です。
たたかいの合言葉は「DECENT WORK FOR ALL!」(すべての人々にディーセントワークを!すべての労働者に働きがいのある人間らしい仕事を!)です。